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ブログ・野口 誠一
第271回:妻と息子の支えに感謝
2010年6月11日
私は北海道へ帰り、弁護士にお願いして裁判所に和議を申請することにしました。そして債権者の方々に頭を下げる毎日が続きました。債権者のなかには「応援するから頑張れ」と励まして下さる方もいて、そのときほど人の心のやさしさを感じたことはありません。
いちばん辛かったのは、社員とその家族との団体交渉でした。それまでは社長と呼ばれていたのに、罵声を浴びせられ、責任を追及されました。当然のことです。憤慨してやめる社員もいましたが、なんとか半分の16人が残ってくれました。再建できたのも彼らのおかげです。感謝にたえません。
間もなく裁判所で債権者集会の日を迎え、ようやく和議の認可を受けることができました。平成6年11月に倒産して、事業を再開できたのは半年後の平成7年5月です。ゼロどころか、負債を背負ったマイナスからのスタートですから、それはそれは並大抵のことではありませんでした。
その年の暮れ、会長に年賀状を書きました。「野口会長のおかげで、八起会のおかげで、平成8年の正月を迎えられます。辛い毎日ですが、今年も1年、頑張ります」
和議が終結したのは10年後の平成17年です。3人の息子たちもなんとか大学を卒業させることができました。いまは長男と三男の2人が私を手伝ってくれています。ここまでこられたのも、妻や息子たちのおかげです。倒産して負債だらけの会社など、たとえ息子でも継ぎたくないはずなのに、2人は戻ってきてくれました。そして私がつくった借金のために、朝早くから夜遅くまで、汗まみれになって人の倍も3倍も働いてくれました。自分の息子とはいえ、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。もう2度と同じ過ちは繰り返したくありません。もちろん、息子たちにもです。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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