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ブログ・野口 誠一
第273回:ネオン街に入り浸り
2010年6月25日
八起会創立30周年記念セミナーで、女性陣のトップバッターとして体験発表してくれたのは、N夫人である。夫人はN氏とともに倒産地獄、自殺未遂という修羅場をくぐり抜けてきた経験を持つ。以下はその赤裸々な体験発表である。
ーー突然でごめん。もう死ぬしかない。あとは保険金でなんとかなるから心配しないで……こんな身勝手な遺書を残して、主人は命を絶とうとしました。幸い命は助かりましたが、なんてひどい人かとやるせない気持ちでいっぱいでした。でも、命は助かっても主人は生きた屍も同然、無気力人間になってしまいました。このままでは2人とも共倒れになってしまいます。私は「しっかりしなければ」と自分に言い聞かせ、必死に対策を考えました。弁護士さんにも相談しましたが、結局は破産しかない、当分は姿を隠すようにと言われ、生まれ育った神戸を夜逃げしました。
主人の実家は祖父の代から水産会社を営んでおり、知り合った当時は義父が事業を拡大し、地元では有力な大企業でした。主人はそんな何ひとつ不自由のない家庭環境のなかで育ち、いわば「お坊ちゃん」でした。そんな彼と出会い、そして間もなく結婚。当初はお金の苦労に無縁のたのしい暮らしが続きました。そんな生活がだんだん崩れていったのは、義父が病気で急死してからのことです。
義父の死後、主人の兄が社長となって跡を継ぎ、主人は支店のほうを任されるようになりました。当初は兄弟とも父に負けじと頑張っていましたが、経営は先代からのベテラン社員に任せきりでした。やがて兄は博打に手を出し、主人は夜のネオン街に入り浸るようになりました。それでもしばらくは、父の築いた財産でなんとかしのいでいましたが、そんな放漫経営がいつまでも続くはずがありません。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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