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ブログ・野口 誠一
第298回:過信して遊びに狂い始める
2011年2月25日
私の会社で製造するイヌ、ネコ、クマなどの縫いぐるみ商品のコストは、ほぼ人件費だけと言ってよかった。そのなかでの年商12億円といえば、儲かって儲かって笑いが止まらない状態である。
私はとりあえず、子ども(3人)が生まれるたびに豪邸を1軒ずつ新築、合わせて4軒も所有し、30代半ばでひと財産を築いた。が、それでも金が余って余ってしようがなかった。
実はこのとき、私は岐路に立たされていたと言っていい。真の経営者を目指すか、ただの社長にとどまるか、その岐路である。真の経営者を目指すなら、膨らむ一方の利益を次なる飛躍、展開へ向けてストックしていたに違いない。
が、私の踏み出した方向は残念ながら後者だった。年商12億円まで伸ばしたのだからもう安心、業績もウナギ登りなのだから、ここらで社長らしい遊びのひとつも覚えなくてはと、あらぬ方向へ走り出したのである。
大金を手にした30代半ばの若造が、往々にして辿る転落の坂道であったかもしれない。要するに、当時の私は金を生かして遣うだけの器量がなかったのである。
案の定、遊びに狂いはじめた。にもかかわらず、私は内心、「自分には生まれつき経営能力が備わっている」と信じて疑わなかった。業績も業容も毎年倍々ゲームで伸びていくのだから、若造が過信したとしても無理からぬことであったかもしれない。
以前、八起会のメンバー500人に「あなたの倒産の原因は何ですか」というアンケート調査を行ったことがある。それをもとに「倒産の原因ベスト10」をつくったところ、その第1位は驚くなかれ「経営者の高慢・経営能力の過信」であった。私は30代半ばにしてこの高慢病、過信病にかかっていたのかもしれない。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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