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ブログ・野口 誠一
第301回:「買う」方面でも常軌を逸して
2011年5月13日
恥ずかしい話だが、私は「買う」の方面でも人後に落ちなかった。というより、常軌を逸していた。家内が文句を言わないのをいいことに、ほとんど家に寄りつかなかった。その方面の遊びに忙しすぎたため、帰る暇がないのである。
たまに遊び疲れて帰っても、おしろいの匂いをプンプンさせてふんぞり返っていた。文句でもとび出そうものなら「ひっぱたいてやる!」ハラでいるのだが、家内は何も言わない。心にやましいことがある人間に限って、高飛車に出ることをよく知っていたのだろう。
そんなある日、女から電話がかかってきた。家内が出た。やりとりの内容から大方の察しはつく。どうやら、女は私に用事があるのではなく、「おたくの亭主には私という女がいるのよ」ということを、家内に知ってもらいたいらしい。よくある話である。
家内の心を乱し、嫉妬させ、優越感に浸りたいのであろう。が、家内は平然と「あなた、こんな電話をかけてきたら、うちの人に嫌われますよ」と言ってのけた。かくして勝負は一瞬にしてついた。
それでも私は灯ともし頃になると、遊びの虫がうずいてじっとしていられない。ふらりと出かけようとすると、家内が「あなた、そんなの着てったらモテませんよ。着替えてってください」と言う。私は黙って家内に着替えさせられ、またぞろふらふらとネオンに吸い寄せられていく。
ある日、取り巻きの一人が「社長、いい女がいます。囲ってみませんか。本人は承知しています」と言う。私もその気になって、さっそくマンションを買ってやった。が、そのマンションにはついに一度も足を運ばなかった。ほかの女遊びに忙しくて、せっかく囲った女のところへも通えなかったのである。その後、その女とマンションがどうなったかは知らない。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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