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ブログ・野口 誠一
第329回:鳴り止まない相談の電話
2011年11月28日
ようやく「普通の人間」になれた私は、八起会の活動にも一段と力を注いだ。その甲斐あって昭和58年、無事に創立5周年を迎えることができた。
その5年の間に会員数もずいぶん増えて、私たちの活動は当初の「自殺防止」の親睦会から「再起の会」へと大きく踏み出していた。が、ボランティア団体ゆえの資金不足から、八起会のもう一つの理念である「倒産110番」の常設には、いまだ至っていなかった。
私はかねて、5周年を大々的に「倒産110番」のイベントで祝し、世の倒産者およびその予備軍に、八起会の存在を知ってもらいたいと願っていた。が、無念なるかな、資金不足につきまとわれ、到底イベントを打てるような状況ではなかった。
しかし、どうしてもあきらめきれない。そこで、6畳2間の我が家ならぬ我がアパートに電話を2本入れ、顧問弁護士と数人の有志で「倒産110番」を決行した。
もちろん、マスコミは全面的にバックアップしてくれ、「8月20日、21日の2日間、朝9時から夕方5時まで」と報じてくれた。が、いざフタを開けたら早朝4時、5時、深夜の1時、2時でも「110番」は鳴りっぱなし。結局、この2日間で250本余りの「相談」が殺到した。あまりの盛況に、私は「1件30分以内で片付けるように」と指示せざるを得なかった。
しかし、これを「盛況」と喜んでいいものだろうか。はっきりいって、世の中にはこれだけ倒産者、および倒産を目前にして苦しんでいる人が多いということではないのか。
だが、たった2日間で、それらの人々を救うことなど到底不可能である。私は切実に「倒産110番」と「倒産駆込寺」の常設を願わずにいられなかった。また新たな苦しみが始まっていく。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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