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ブログ・高橋 聡
第175回:働き方改革への対応(60時間超の割増賃金率150%)
2020年6月11日
働き方改革関連法が順次施行されています(【図1】)。そこで、働き方改革関連法への対応というテーマで法改正への具体的な対応策について解説してまいります。
今回は前回に続き(60時間超の割り増し賃金率150%)への対応について説明します(その②)。
前号で、月間60時間超の割り増し賃金率150%の影響として、割り増し率150%への改正法対応に加え、強制適用される最低賃金上昇の影響を加味すると3年後には3万円、月額1割程度の給与増をしていく必要がある、ということになることを説明しました。さて、給与増の数値的影響は、この説明の通りですが、中小運送業の現状では、この法改正対応に関し、いくつかの影響があります。まずは、60時間超過の時間外時間数を把握できるか、という問題です。
例えば、①拘束時間数からマイナスすべき正確な休憩時間を把握できていないため、労働時間数の計算精度が低いこと②時間外労働に関し1日8時間超のみを把握し、週40時間超は把握できていない③変形労働時間制の設定時間数を勘案できていない④法定休日と所定休日の定めが明確でないため計算精度が低いなど、現状では時間外時間数の把握に大きな問題がある、ということです。
また、給与体系においては、歩合給を残業代相当として支給している、または運行手当等定額の時間外手当を支給しているなど、そもそも残業時間数と連動した計算をしている会社が少数であるというのが現状のため、実務上の影響は大きいと考えられます。しかし、このまま対策を検討せずに数年が過ぎると、月額3万円の給与上昇が義務化されます。給与体系の抜本的見直しが急務と言えます。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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