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ブログ・高橋 聡
第293回:令和時代の運送業経営 残業時間削減編(90)
2025年7月18日
【残業時間対策編】90
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号から「残業時間対策編」として時間外上限規制(2024年問題)への対応について解説してまいります。(その8)
1.給与変更による労働時間削減
24年問題への対策として「労働時間・残業時間数」を削減するために「給与変更」を行う方法として、「時短促進手当」の導入を検討している事例があります。同社は日配品の配送と建材運搬を行う会社で、先代の時代から出来高歩合給主体の給与制度を導入していました。
同社の給与は「基本給+定額残業+出来高歩合給」という方式で、出来高は走行距離数と運賃額基準によるものでした。
同社の日配品の運行に関しては物量などにより出来高が変動する仕組みとなっているのですが、同じコースを担当するAさん、Bさんがいた場合に、常にBさんの労働時間が長く、出来高はほぼ同額であるが時間のかかるBさんの給与が高くなり、Aさんから不満の声があがっている状況でした。また、最近、若手のドライバーの親御さんや奥様から「出来高」に関して抵抗感があるという声を聞くようになり、どのような給与制度がいいか考えていました。同じトラック協会の支部に加盟している車両数200台の会社が「時給制」を導入し、労働時間が長時間となり問題になっているという話を聞いたほか、日給制の会社で未払残業を請求され対応に苦慮している、といった話を聞き、自社に合った給与制度は一体どのような制度なのかよく分からない状況でありました。
そこで保険代理店を経由しコンサルタントに相談したところ、「時短促進手当」の導入を提案されたのです。
2.事例のポイント
給与制度に「残業削減のインセンティブ」となる仕組みを導入することは有効です。時短促進手当の導入が残業削減に一定程度つながることは事例で検証できています。ただ、長時間化している原因が配車・荷待ち・待機時間など現場の状況にある場合も多いこと、また、会社に課された規制である時間外規制の対応をドライバー側に求めることになるため、導入・設計・運用に留意が必要になります。関連記事
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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