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ブログ・高橋 聡
第295回:令和時代の運送業経営 歩合設計編(92)
2025年8月31日
【歩合設計編】92
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号は前号に続き「歩合設計編」として時間外上限規制(2024年問題)への給与設計面での対応について解説してまいります。(その2)
1.歩合給の必要性
運送業で給与の全部または一部に出来高歩合給(以下歩合給という)を採用している企業の割合は6割~7割前後で、多くの会社で歩合給が採り入れられています。なぜ運送業界で歩合給の採用割合が高いのでしょうか。
労働基準法は「時間」「日」「月」などにより給与を制度化し法定労働時間数を超過した場合には割増賃金を支払うことを義務付けています。定期便・ルート配送などの固定的運行で作業量の変動があまりない運行であれば原則通りの時間連動給与で大きな問題にはなりません。コンプライアンス面については原則通りの運用になるため透明性の高い制度といえるでしょう。
しかしながら不満の声があがることがあります。
事例のように荷主からの運賃は同じでも給与額に差が出ること、意図的に時間を要しているドライバーの給与が効率的に仕事している者より高くなることは経営的視点では問題です。
また、最低賃金の上昇が顕著で今後もその傾向は継続しますが、時給・日給・月給制においてはそれぞれの「時間給」が最低賃金以上となる必要があります。さらに、月60時間を超過した場合の割増賃金は150%で計算する必要があるということもあり、時給制は残業60時間以下の運行で採用を検討すべき給与制度でしょう。
このような運行の場合、標準時間(そのコースを運行するのに通常必要とされる時間数)を元に定額残業代制度を導入することが検討できます。毎月の給与が固定化することでそのような給与制度を望むドライバーに合ったものになります。
さて、多くの会社では運行内容が変化する変動的な運行を行っています。
2.変動的運行
多くの運送会社が担うのは物量、コースが変動する運行です。特に中小運送事業者が担い手であり給与制度や最低賃金への対応として変動給・歩合給(インセンティブ型)が求められることとなります。関連記事
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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