皆さん、ＪＡＰＰＡ理事長の上西です。

昨年１２月４日、東京の観光バスで有名な「はとバス」が新宿の一般道の交差点で停車中のハイヤーに突っ込み、ハイヤーの運転者が死亡するという事故が発生しました。

バスの運転者は事故後の検査でインフルエンザに罹患していたことが発覚し、「事故の前後のことは記憶にない」と語っているとのことです。

はとバスの会社には警視庁の家宅捜索および国交省の特別監査が入ることとなりますが、間違いなく運転者個人の責任に留まらず、会社としての安全管理体制を問われることとなるでしょう。

この事故から我々が学ばなければならないことは、「止まる勇気」を持たなければならないということです。

運転者は「仕事に穴をあけると仕事が来なくなると思った」という内容の話をしているそうです。

この運転者が、どのような雇用形態の下に勤務していたかは定かではありませんが、「人の命を奪う」という最悪の結末に結びついたことの弁明には決してなり得ません。

そして同時に「止める勇気」も必要ということです。すなわち運行管理者が「運転をさせないという判断」を勇気と責任をもって行うことの重要性です。「運行管理者という職責の重大さ」と「点呼の重要さ」を改めて真摯に見直す必要を実感しています。

私はまだ２０代のころ（もう二十数年前になります）、あるタクシー会社で運行管理者を任されていました。当時、その職責の重大さをしっかりと自覚し、運転者一人ひとりの健康状態をしっかりと見極めるための本当に意味のある点呼を行えていたかというと、その答えはＮＯだと言わざるを得ません。

人は「失敗から学ぶ」ということも重要ですが、自動車事故に関しては、たった一度の失敗が「人の命を奪ってしまうという取り返すことのできない失敗」になり得ます。ぜひとも「止まる勇気と止める勇気」「点呼の重要さ」を、この事故から改めて考えてみましょう。

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上西一美のドラレコ交通事故防止