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    アサヒロジ(前編)「強い現場力で一人ひとりが主役に」

    2009年11月30日

     
     
     

     アサヒロジ(中村恭三社長、東京都)は、アサヒビールの物流部門を担う企業5社を強化・再編し2006年に設立された。掲げたテーマは「食品物流の雄になる」と「1人ひとりが主役となる企業」。「2つのテーマは継続し、共同配送のネットワーク拡大に力を入れたい」とする中村社長に、取り組みと今後を聞いた。


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    中村社長
     設立時に事業系会社を目指した同社は、グループ外への外販拡大が課題だった。当時、外販比率は25%だったが、3年で31.5%まで拡大。ビールの鮮度輸送のノウハウを生かし食品分野をメーンに、ごま油やジャムなどのメーカーの物流を受託。「食品物流の雄」を目標に、食品メーカーの3PLを目指している。
     外販拡大を支えるのは現場力だ。中村社長は「ウチを支えているのは現場。物流会社はドライバーでもピッキング作業でも『人』で成り立つ」と強調。この精神は「1人ひとりが主役となり、知恵と工夫によってお客様の期待を超えるサービスを提供し安心で便利な社会づくりに貢献します」という経営理念に凝縮されている。
     「ポイントは1人ひとりが主役ということ」。まず始めたのはK2(改革・改善)活動だった。毎年社内200チームほどで改善事例大会を開催、人事制度も一新した。「目標チャレンジ制度」で、各自が上司に目標を報告し、達成度合いを評価できる仕組みにした。
     また、毎月、社長からのメッセージを全従業員に社内ネットワークで伝えることで、現場の声が多く社長に上がってくるようになった。
     現場を大切にしたことが現場を変えた。一例が、同社の大型車実運送部門を分社化したエービーカーゴ東日本とエービーカーゴ西日本だ。分社化の際には「アサヒロジグループに実運送の自社車両が必要なのか」と議論もあったが、現場重視の点からも自社車両で実運送を担うことは必要だという結論に至った。分社化前の大型車輸送部門は大赤字で、黒字転換までは3年はかかると見られていたが、なんと1年で黒字に変えた。変えたのは現場の1人ひとりで、「彼らの危機意識が変わった」と同社長。各自が主役となってK2活動に取り組み、高速道路の使い方などコスト削減を提案し実践したのだ。改善は継続され、今も黒字経営が続いている。
     安全にも力を入れた。稼働車両は1日3000ー4000台。ピーク時には7000台にもなる。事故のリスクは常にあり、発生防止が大きな課題だが、今年上半期は労災と車両事故を併せて前年比6割減となっている。
     「輪止めと指差呼称はアサヒロジのブランドにしたい」とし、特にフォークリフト後退時の指差呼称を徹底。中村社長は「安全対策は意識の部分が大きいので、この2つを強調することで、結果的に安全を意識し、ほかも気をつけるようになる」という。ミスを防ぐために、輪止めに紐をつけて運転席に結んで置くなど、現場からの改善策も上がってきた。
     昨年からは部署を超えて、経営陣と現場の従業員も含めた安全強化プロジェクトも発足。今後は本社主導ではなく、自ら安全計画をたてる方向になっている。1人ひとりが主役に――その精神は着実に実現されている。(千葉由之記者)

     
     
     
     
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