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運送会社
イオングローバルSCM CO2削減を徹底
2013年10月30日
巨大な物流センターから独自のシステムで全国の店舗へと商品を供給するイオン。物流部門を担うイオングローバルSCM(千葉市美浜区)の橘良治営業統括部長、泉裕介効率化グループマネジャーの両氏に、環境に対する取り組みと今後の目標について話を聞いた。
08年、「イオン温暖化防止宣言」がターニングポイントとなり、イオングループでは今日まで環境に対する取り組みを推進してきた。11年には、「低炭素社会の実現」など4項目の「サステナビリティ基本方針」を発表、取り組みを加速させている。こうした流れの中、物流部門がまず着手したのは長距離幹線輸送のモーダルシフトだった。
北海道や九州、沖縄への飛行機便や、長距離トラックで輸送していた区間をJR貨物に切り替え、大幅なCO2削減を図った。飛行機便と比べ、プラス1~3日のリードタイムが生まれるため難色を示していた小売店も協力し、2000コンテナほどでスタートした取り組みが、今では年間2万コンテナに増加。ただ、イオンでは、単にモーダルシフトしただけで終わらない。
「JRさんでは〝イオンモデル〟と呼ばれている」と橘部長が話すのは、イオンがJRやメーカーを巻き込んで取り組んできた帰り荷の斡旋だ。「着手当初はお願いしてコンテナを増やしてきた。行き帰りの荷物のマッチングを行い、より効率的で無駄のない仕組みを構築し、今ではJRさんも一緒になって取り組んでいただいている」と同部長。CO2の排出量は取り組みを始める前の8分の1になった。
センターと店舗間、センターとメーカー間それぞれ別々に行っていた集配も見直し、「商品を積んでセンターを出発し、店舗で下ろしてメーカーで集荷してセンターに戻ってくる」一筆書き方式にすることで、車両ごとの稼働率を上げ無駄をなくした。また、納品時間の順守を徹底し、待ち時間を解消することでエコにつなげる。「納品時間を2時間ごとに区切り、その幅のなかで納品先に確実に届けることを徹底している。現在、99.7%の時間厳守率」と胸を張る。「遅延や破損といった商品事故がないことが一番」と、品質管理のシステム構築にも着手しているという。
東日本大震災で軽油の品薄を経験して以降、CNG車の導入にも注目している。「環境対策とともに、エネルギーの分散で軽油の供給不足にも対応できる体制を整えるのが目的。インフラ整備など課題も多いCNGだが、将来を見据えて取り組んでいきたい」と泉マネジャーは言う。
関東・中部・関西にある3か所の地域拠点間を結ぶ幹線輸送は、10トン車からトレーラへと大型化を図りながら、往復ともに積載率を向上させた。
環境に対して様々な取り組みを展開する同社だが、その方針を現場に伝えていくのが「物流合同会議」だ。年4回の会議で、協力会社に対し方針を周知。それとともに、3年前からは「QC会議」を開催し、改善活動発表会で優秀な取り組みを採り上げている。
今年度の目標は、店舗配送でのCO2排出量を10年度比5%減。表彰制度や社内報「エコドライブニュース」、講習会の開催でエコドライブを徹底し、目標達成を目指す。 -
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