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    トワード物流・友田社長「独自技術で鮮度管理輸送を実現」

    2007年9月20日

     
     
     

     佐賀、福岡両県の県境に位置する脊振山(せふりさん)。現在は観光地として有名な背振山系最高峰(標高1055m)のこの山は、かつて山岳宗教の中心であり「霊山」として多くの修行僧が暮らしていた。
     トワード物流(友田健治社長、佐賀県神埼郡吉野ヶ里町)の前身、三瀬陸運は脊振山系で伐採した木材をメーンに炭、まきなどを運搬する仕事に従事していた。


     友田氏が父の跡を引き継ぎ、同社の社長に就任した90年当時は「年商1000万円で借金が3000万円の会社」だった。「そんな財務状況でも実運送で真面目にコツコツと働いていれば、何とか少しずつでも借金は返済できた。トラックにとって良き時代」だったと回想する。トワード物流06年度売上高は37億5000万円。ここまで拡大した背景には友田氏のチャレンジ精神がある。
     入社以来、「借金は返せる、会社も存続する。だが、このままではダメだ。単に地方の零細業者で終わってしまう」と感じていた友田氏。社長就任の翌年、社名を「トワード物流」に変更すると同時に、生鮮食品輸送市場に殴り込みをかけた。それには十分な勝算があった。
     70年代後半から80年代にかけて食品輸送業界では「温度管理」「鮮度管理」が注目され始め、各企業は最新技術の開発、応用に躍起になっていた。理論面も百家争鳴、多くの学者、コンサルタントが欧米の最新理論を紹介したり、経験に基づく持論を展開。
     その中に「コールドチェーン」をコンセプトに独自の鮮度管理、保冷輸送理論を説く、大竹一郎氏というコンサルタントがいた。友田氏は大竹氏の門下生であり、その理論の忠実な実践者でもあった。社長に就任する前、三瀬陸運では佐世保の米軍基地向けに農産物の輸送も手掛け始めた。
     友田氏は学んだばかりの大竹理論に基づく「真空予冷」技術を応用、地元農協のレタスを輸送したところ「レタスの芯を腐らせず」に届けることに成功、農協から喜ばれた。高価な冷凍車を使う必要もなく、「コールドチェーン」は可能と主張する大竹理論の正しさが証明された。トワード物流となって翌92年に「ハブ&スポーク」理論に基づく適正温度帯物流施設「九州ハブ低温センター」をオープン。同センターを利用したモスバーガーの店舗向け生鮮物輸送で「冷凍車を使わない輸配送」を実現、高く評価されたのが市場への本格進出のきっかけとなった。保冷カゴ車を活用したF&E(ファジー&エコノミカル)技術を巧みに組み合わせたシステムで取引先を拡大、冷凍庫や自動倉庫増設など設備も拡充させながら業績を伸ばしてきた。05年には「低コストで確実な鮮度管理」が全国展開する大手ファミリーレストランのコンペで認められ、超一流企業二社を振り切り、取引がスタート。これを契機に東京進出を果たした。当初、大手レストラン側では「田舎の無名業者」に軍配が上がったことをいぶかる者さえいた。
     一方、情報システムの開発、販売にも力を入れており、トラック事業者向けの多機能情報システム「トラサム」をはじめ物流情報管理の「ネットサム」、WMS主体の「DCサム」などメニューも増えた。今後はASP販売も本格展開する計画だ。これら情報システム販売やセンター運営事業を含め、今期は「売り上げ45億円突破」をめざす。
    【会社概要】41年、戦時統合により三瀬貨物自動車が創業、同社を母体に51年に三瀬陸運創立。91年、トワード物流に社名変更。現在、資本金1億3000万円。従業員286人。車両は10t冷凍車、10tウイング、F&E冷凍車など74台保有。
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    ◎関連リンク→トワード物流

     
     
     
     
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