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    新型二軸トレーラで注目集める花見台自動車

    2009年1月6日

     
     
     

     昨年4月から二軸トレーラによるISOフル積載(24t)20フィートコンテナの輸送が禁止となった。
     政府は「各車軸にかかる重量が10t以下のトレーラ使用」「三軸トレーラへの買い替え」を事業者に促してきたが、フル積載20フィートコンテナに対応する「新型二軸トレーラ」が登場。三軸車への切り替え以外に方法があるのか。製造元である花見台自動車(福島県いわき市)の能條健二社長に聞いた。


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    能條社長
     同社長は「三軸トレーラは安全性を欠いており、非常に危険」と警鐘を鳴らし、新型二軸トレーラは「規制をクリアする」ことを最大の目的として設計したと話す。
     同社長が指摘する三軸車の危険とは、構造上の問題に起因している。三軸車は二軸車に対し、一軸分の重量が大きいため、重心が後方に偏って第五輪荷重が小さくなる。結果、トラクタの駆動軸重が不足するため、グースネック上部に約2t分のカウンターウエートを積載し、けん引力を高めるとともに、バランスを取らなければならない。「無駄なウエートを積むので燃費が悪化し、タイヤの摩耗が著しい。空荷の時はウエートが落下する可能性もある」。
     すでに三軸車を導入している事業者の中には、カウンターウエートを外すところも出てきている。その場合、「第五輪荷重に十分なトラクションがかからず、悪天候時や登坂路での走行でスリップする危険性もある」と同社長。
     同社が独自開発した「新型二軸トレーラ」は、重心を後方に偏らせることなく、前方に(重心を)置かせるために「コブラネックフレーム」を採用。従来、フレームは直線状に伸びており、トラクタとの連結部分の干渉を防ぐためにネック部分を伸ばし、後方に荷台を置く。これに対し、「コブラネック」は、グースネック部分からフレーム幅を左右に広げることで、干渉を避けるとともにフレーム前方に荷台を置くことができる。また、連結全長は三軸車が13m前後に対し、新型二軸は12m以内まで縮めているのも大きなメリットだ。同社長は「運転操作がしやすいのに加え、通行経路の見直しも可能」とアピールする。
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    コブラネックフレームで安定
     同車は「規制をクリアする」ための工夫を施したことで車両総重量を28tまで落とすことに成功。三軸車に比べ、2t以上も軽量化し、燃費差は「約10%」にもなるという。車両価格は360万─390万円。
     海コン輸送業者の中には「これまでの三軸トレーラへの買い替えは何だったのか」と、国交省を相手取った法的抗議を検討する動きもある。
     同社長は「『新型二軸車』は燃費効率に優れている。長期的に見て、環境に大きく貢献する」と説明。「政府は現在、環境貢献製品への交付金を拡充している。輸送費とCO2排出量を低減できる『新型二軸車』でも交付金が支給されるように考え方をシフトしてほしい」と話す。
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     ■ ■ ■
     20t超コンテナの輸送対策を巡っては現在、花見台自動車を除くトレーラメーカーが三軸車を販売しており、国交省も3月時点で「4月以降、フル積載が可能なトレーラは三軸車」との見解を示していた。
     97年に通達した『基準緩和自動車の認定要領』の中で、軸重10t以下の制限をクリアできる適合車は三軸車のみと定めており、その認識が継続されていた部分が大きい。そのため、花見台自動車の「新型二軸車」は、現在もフル積載20フィート国際海上コンテナ用トレーラとしての認可が下りていない。
     しかし7月、同省は新型二軸車について「車軸が三軸であるものと同様」とし、海コン用トレーラとして必要条件である「軸重が関係法令などに定める基準に適合する車両」と認め、これに伴う同要領の改正に向けたパブリックコメントを募集。三軸車以外の道が開きかけたわけだが、今なお決着は付いていない。

     
     
     
     
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