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製品・IT
トライプロ 唾液でアルコールチェック
2011年7月26日
「飲酒検査に厳格な会社という評判が防御壁の役割を果たす」と語るトライプロ(神奈川県川崎市)の高木宏昌社長は、大手飲酒検知器メーカーの営業部長を務めた経験を持ち、「これまで500社以上の点呼現場に立ち会った」という。「いまでは検知器の設置は当たり前になったが、数年前までは『余計なことをするな』とドライバーに罵声を浴びせられることも多々あった」と振り返る。
同社では現在、同社長の豊富な経験を生かし、運送事業者の安全管理を支援する事業を展開。今月11日からは、飲酒しているかどうかを唾液でチェックできるキット「TP AS02」の販売を開始した。なめるだけで血中のアルコール濃度を検出する同製品は、1ケース25個入りで980円。「検知器の判定に対するセカンドオピニオンとして提案していく」という。
「呼気で検出する検知器は、飲酒していなくても反応が出る場合があり、『飲んだ、飲んでいない』とトラブルに発展するケースが跡を絶たない」という。「検知器の精度が完璧でないことを知るドライバーが、実際は飲んでいるのに、『絶対に飲んでいない』と言い張り、うやむやにしようとする悪質なケースもある」とし、「検知器でアルコールが検出された場合に確認キットで再チェックすることで、言い逃れができなくなり、管理者も正しい判断ができる」。
ドライバーにとっても、本当に飲んでいない場合は潔白が証明できるため、「労使双方にメリットは大きい」とし、「チェックが厳しい会社という噂が広まれば、飲酒ドライバーは入社しなくなる。結果的に会社を守ることにつながる」という。
「今後、ドライバーや運行管理者に対する社内規定の厳罰化が進めば、営業所ぐるみで隠蔽が増える可能性が高い」とし、「大きな問題に発展してから、『なぜ、みんな黙っていたのか』と問い詰めても遅い。最初からきちんとした仕組みを構築しておくべき」とする。
また、同社では尿中の薬物(覚醒剤2種・大麻・コカイン・ヘロイン)を検出する濫用薬物チェッカー「TP DC05」も発売。こちらも1ケース25個入りで980円。
今年1月に大手電鉄系バス会社の運転士が覚醒剤所持で逮捕されたが、事件後に高木社長が交通事業者にヒアリングしたところ、「大手・中小とも何も対策をしていないのが現状。あまり表沙汰になっていないだけで、トラック運送業界にとっても大きな問題」と警鐘を鳴らす。
ただ、飲酒と異なり薬物のチェックでは会社側が注意すべき点もある。欧米では日常的に薬物検査が行われているが、日本では一般的ではないため、検査を強要すると人権問題に発展しかねない。「入社時に『検査を拒否しない』などの誓約書をとっておくなど、事前に取り組むべきことがある」という。
同社長は、「製品を販売するだけでなく、実際の現場で、どう使用すべきか、薬物のまん延を防ぐ体制の構築はどうすべきかなども提案していきたい」としている。
◎関連リンク→ 株式会社トライプロ -
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