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製品・IT
吉見製作所 作業負担軽減に貢献「夢の腰サポーター」
2017年11月29日
「元々は介護分野に携わる方々を対象に製作した商品だが、トラックドライバーや倉庫作業員、重量物を持たれる方などにも知っていただき、作業者の負担を少しでも解消できれば」と話すのは、愛知県大府市に本社を構える吉見製作所(坂一宏社長)の坂春菜取締役。これまで手掛けてきた形状記憶合金製品加工の技術を生かして、「夢の腰サポーター」を開発。腰痛に悩む人々の負担軽減に貢献している。
同社は、形状記憶合金製をはじめとした医療介護品、釣具、車両、航空機部品などの諸分野で試作、量産を手掛けている。特に加工技術は他社との差別化を図っており、精密鋳造、切削、曲げ、圧延加工、熱処理加工などを駆使。他社では難しい形状品の開発の実績も豊富である。今回開発した「夢の腰サポーター」は、愛知教育大学技術教育講座の北村一浩教授、星城大学リハビリテーション学部の太田進准教授らとの共同開発で産まれた商品である。
同商品は、形状記憶合金がもつ、応力による変形を加えても、除荷することで元の形状に戻る「超弾性」の性質を応用したもの。このバネ効果が、屈曲時の腰部への負担軽減、長時間にわたる立つ姿勢、ドライバーなどの座る姿勢にも姿勢維持の役目を果たす。サポーターの左右には、それぞれ3本ずつ形状記憶合金の支柱を挿入。後ろベルトと前部の上下のベルトで腰部を固定する。色はベージュとブラックの2色を用意。サイズは基本的に4サイズを設定しているが、支柱の長さが通常よりも長い特別仕様にも対応している。また、使用する人や目的に合わせて、支柱の数も調整できるなど細部にもこだわっている。脱着に関しても、コルセットを腰に装着するように容易なので、手間やわずらわしさを感じさせない。
これまでの市販サポーターや従来品で課題とされてきた、装着時の「ムレ」によるあせも・かゆみを、通気性を高くすることで解消。作業者に優しい作りとなっている。また昨今、動力装置を使ったロボットスーツが大きな関心を集めているが、非常に高価(初期費用、メンテナンス、レンタルなど)な点や操作対象範囲の限定、重くて活動しにくい、脱着に手間など、現場レベルでは改善点が散見される。製造責任者の安田寛治主任は「ロボットスーツは、高価で手間がかかるイメージだが、当社の商品は6万円程度の価格帯で、装着しやすく軽いのが特徴。他の金属、樹脂にはない独自の性質を活用したサポーターなので、使用感をぜひ試してもらいたい」と力を込める。
発売以降、重筋作業に従事する大手鉄鋼メーカーへ導入。オペレーターの評判もよく、効果は上々。労働環境改善にも貢献する形になり、労災防止への期待も高まる。
坂取締役は「腰痛が業界全体での問題になっていると聞いている。『夢の腰サポーター』が皆様の作業負担の軽減につながり、少しでもお役に立てればうれしい」と話す。
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