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物流ニュース
物流不動産・特別座談会「さらなる成長を見込んで」(2)
2008年10月17日
物流不動産・特別座談会の第2回目をお届けする。
【出席者】
司会進行:物流エコノミスト/鈴木邦成氏
オリックス不動産 物流投資事業部長/伊土弘一郎氏
コマーシャル・アールイー インベストメント事業本部長(兼)ロジスティクス・リテール第一事業部長/井口隆之氏
野村不動産インベストメント・マネジメント 物流施設事業部長/山田譲二氏
司会を務めた鈴木氏
鈴木「物流ファンドが出てきたことで、3PLなど物流の仕組みも大きく変わってきました。皆さんは現状をどう考えておられますか」
伊土「ファンドが建てる倉庫によって、供給が過剰になってきていますよね。競合するのは仕方がないですが、過度な競争は良くないと思います。当社では、どこかのタイミングで、倉庫会社さんとも共同投資などをやっていきたいと考えています。ここ一年で状況も大きく変わって来ていますので、業界が縮小してもらっては困るという考えです。特に、環境をテーマに物流不動産を考えて、共存共栄でいきたいところです」
井口「当社も、かなり供給が進んでいるという感じは持っています。湾岸エリアでは一部過熱が進んでいますし、今後は、圏央道に絡んだ開発がまとめて進んで行くことで、同時期に新しい施設が竣工していくと、供給過剰になりかねないと懸念はしています。当社としてもテナントとしっかり手を結んで開発していくのが、より一層、重要になってくると思っています。業界全体で考えますと、やはり、私も何らかの形で共存共栄は必要だと思います」
山田「首都圏と地方でのお客さんのニーズは大きく違います。地方は土地が多く、大型物件の供給はしやすいのですが、物量のパイには限界があります。今後も需給バランスの見極めが重要だと思います」
鈴木「運送会社もいま厳しい状況に置かれております。『物流不動産の活用』というのは、もう完全にビジネスモデルとして確立されていますが、物流事業者への何かセールスポイントと言いますか、『当社はこういうことができる』というのがありましたら、ご説明をお願いします」
伊土「グループ会社にオリックス自動車がありますので、車両を安くリースして使ってもらえればコスト削減ができます。あとは、いろんな物流業者さんを訪問する中で、やっぱりまだまだ合理化が進んでいないと思います。これから相当合理化が進んでいくと思うので、そこに当社として、どんな形で入り込めるかをいま探っているところですね」
伊土「また、CO2削減義務というのが数値として与えられてくると思うので、ここから3─5年間ぐらいで、いろんな意味で運送業界も変わっていくと思います。そこをうまくタイアップしていきたいですね。東京の周辺部にある古くからの建物群に対して、(法令順守など)きっちりしていかなければならない。それこそ、ここに集まっている皆さんと一緒になって、大きな施設を作るとか。例えば、合理化された施設に数社の物流会社が入居するといったことも考えられると思いますし。集約して一つのバカでかい施設を作るとか、そういうことを考えていきたいなと思います。1社だけでやる時代というのは終わってきたのではないか思うので、それぞれが手を組んでやっていかないと」
鈴木「井口さんはどうですか」
井口「当社はテナントさんのリーシングに力を入れている会社でもありますので、この強みを生かしていきたいです。運送事業者さん向けとなると、最近注目されている共配などのお手伝いもできると思います。また、今日こちらに来ていらっしゃる会社さんも含めて、立派な施設がたくさん建っておりますので、そういった会社のリーシングのお手伝いもさせて頂いております」
井口「当社の場合、自社で開発して、その施設のリーシングはもちろんやりますが、別の事業本部で他社さんのリーシングのお手伝いもさせていただいております。テナントさんの声に接する機会が増えることで、賃貸マーケットを肌で感じながら、情報を提供することができる。この点から、今後も貢献できるのではないかと考えています」
鈴木「運送事業者の中には、『ウチはこんな大きな施設は借りる必要がない』というところも多いでしょうからね」
井口「そういった意味では、大きい施設から小さい施設まで集まっているのは当社の強みだといえます。また、先日発表させていただきました天幸総建との経営統合で、グループ全体ではサブリース物件を現在、1700棟ぐらい保有しております。規模の小さい物件を数多く持っているというところと、自社で開発する物件、そして他社の物件と、これらの情報を集約させて運送事業者さんに提供する、という形での貢献も考えております」
鈴木「山田さんはどうですか」
山田「物流のマーケット環境は変革期にあると思います。我々のようなプレイヤーが、いろいろな施設を提供しているというのが一つ。また、まだまだ効率化が進んでいないというのが一つ。各種データでも荷の量というのは相対的に増えていないですから、効率化を図るためには、もっと効率の良い施設に統合していくという流れは避けられないととらえております。その中で、私どもができるところというのは、物流に適した良い立地に、物流企業様にとって使いやすい施設を供給していくというデベロッパーとしての使命をまっとうしていくことだと考えております」
山田「また、立地の選定から始まり、『永続的に使いやすい』施設およびマネジメントの提供が、施設供給側に求められるところだと感じております。そういう部分での業界における貢献が、われわれ不動産業界が『物流不動産』を手掛ける大きな意義なのではないかと」
(第3回につづく)
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