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    【特別座談会】ニーズ高まる「TAPA」(1)

    2008年12月5日

     
     
     

     高額商品の盗難や食品への異物混入事件などの影響で、サプライチェーンセキュリティという概念が荷主企業で広まりつつあるいま、物流業界も積極的に安全性の向上に注力すべきだと言われている。
     その物流業界で徐々にではあるが、認知度が向上してきたTAPA(Transported Asset Protection Association)認証。大手フォワーダーを中心に、実際に取得に取り組む企業や関心を寄せる企業が増えている。


     TAPAアジア日本支部の代表を務める浅生成彦氏も、「日本の物流分野での国際競争力を強化するため、会員組織をより一層拡大し、TAPAの普及を全力で進めていく」と力強く語る。今回、TAPA認証を取得した物流事業者と荷主として同認証に理解のあるメーカー、さらに、システム会社や警備会社など、TAPA普及に尽力する企業各社の担当者が集まり、同認証の取得意義について意見を交わしてもらった。
    【出席者】
    日本ヒューレット・パッカード/北島善吉氏
    損保ジャパン・リスクマネジメント/柳沢芳太郎氏
    SGモバイルサポート/一蝶茂人氏
    綜合警備保障/永野正氏
    LRQAジャパン/原田靖雪氏
    西日本鉄道/苅田敬三郎氏
    三菱電機システムサービス/木内保幸氏
    司会=TAPAアジア日本支部/浅生成彦氏

    浅生「日本の物流事業者に求めるセキュリティレベルについて、荷主として日本ヒューレット・パッカード(HP)の北島さんにお聞きします」
    北島「私どもは入札で業者を選定しているのですが、セキュリティレベルについては『TAPA認定に準拠した相当のものが望ましい』としています。ただ、日本の物流施設の中で、TAPAクラスAに認定された倉庫がどれくらいあるのかというと、非常に少ない。我々が使っている倉庫の中でクラスAを取得している倉庫は1か所、そこでは通関をやっています。『TAPAが認定されている倉庫が基準ですよ』となると、途端に少なくなってしまう」
    浅生「おっしゃる通り、日本では、まだまだ少ないのが現状です」
    北島「当社は『セキュリティオーディット(検査)』というルールがありまして、アメリカからアジアを統括しているところに検査に来て、各物流施設も審査していきます。彼らは日本の治安レベルを認識しており、マレーシアやフィリピンでやる審査と同じ基準でやっているかというと、そうではなく、『日本は非常に安全だ』という認識の上で審査しています」
    浅生「審査の中身は」
    北島「我々が物流施設側に求めていることは2つ。1つはアクセス管理をきちっとしていること。出入りする時に誰でも入れるのではなくて、人が進入する、あるいは出て行くことに対するアクセスをしっかりと管理しているか。これは入った人は必ず登録して入って、出る時もちゃんと出たということがわかるようにしているということです。2つ目は、ある程度のCCTV(監視カメラ)で監視されていて、それが特に入出庫のエリアなどで監視されているかということです。その2点をポイントに審査しています」
    浅生「基準に満たない場合は」
    北島「カメラのカバー率を上げてくれだとか、もうちょっとアクセス管理をきっちりとしてくれということをお願いし、再審査をして認定する、という手順でやっています。それは必ずしもTAPAの認定を取ってくれというのではなく、当社サイドで定めたオーディットの基準に合致しているかということを審査しています」
    浅生「例えば、本国(アメリカ)側から『日本の施設でTAPAを取らなきゃいけないよ』という話はありますか」
    北島「ありません。コスト負担の問題もありますから、『我々が求めるレベルであれば良いですよ』ということです。TAPA取得は、『準拠しているのが望ましい』としています。必ず取らないと、入札がダメだということではありません。それを入札条件に書いた瞬間、我々の日本での選択肢が非常に少なくなってしまいます」
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    「TAPA取得は『準拠しているのが望ましい』」と北島氏
    浅生「コンサル会社としてのSGモバイルサポートさんは、日本の物流事業者のセキュリティレベルを、どうお考えですか」
    一蝶「いろいろな企業を支援させて頂いておりますが、日本はまだまだ『安全と水はタダ』という意識が根強く、TAPAという規格が、浸透しにくいのかなという感じはあります。しかし、最近では、食品偽装や毒物混入事件などの問題もあり、TAPAの概念で商品の流通管理を考えられる企業からの問い合わせは増えてきております」
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    一蝶氏は「問合せは増えている」と実感
    浅生「倉庫のセキュリティレベルというのは、オフィスなどと比べて、まだ低いかなと思うのですが、三菱電機システムサービスさんはどうお考えですか」
    木内「日本のレベルは、残念ながら低いと思います。治安が良いことに加え、従業員管理がきちっとできているからです。東南アジアでやるような厳重な物流セキュリティを導入するだけの必要性が、まだ日本ではないという判断が多いのではないでしょうか。費用対効果の問題もあります。TAPAのクラスAを取得するような物流セキュリティと、それに準じるISOの管理システムを導入すると莫大な費用が掛かってしまう。運賃などに転嫁できるかというと、できるような市場環境ではありませんので、投資する側も回収できるかとなると非常に難しい。その点が最も大きいと思っています」
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    「投資の回収が難しい」と木内氏は分析する
    浅生「綜合警備保障(ALSOK)さんは警備の専門家ですので、施設や工場、オフィスなどの管理業務をされていますが、物流倉庫はどの辺の位置付けでしょうか」
    永野「物流倉庫も企業によって、その差は大きいと言えます。外資系ブランド品の倉庫では、『セキュリティを厳しくしてくれ』ということで、ゲートを100か所ぐらい、それもすべて半年以上ログを取り、カードもセキュリティレベルが高いものを望まれました。高額な投資となってもセキュリティレベルを上げたいということです。物流管理だけでなく、防災のために、消火設備も入れてくれという要望もあります」
    浅生「他にも事例はありますか」
    永野「外資系の飲料メーカーでは、担当者の方が、『長く日本にいて安全は確保されていると思っているが、本国指導でセキュリティレベルを上げることになった』という話でした」
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    ALSOKは物流倉庫の警備事例も豊富
    (つづく)

     
     
     
     
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