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    荷主企業のコロナ対応 第2波への対策は

    2020年10月6日

     
     
     

    新型コロナウイルスの流行により、経済に歯止めがかかった一方で、スーパーマーケット・ドラッグストアなどの小売店では消費の増大に伴い物流の大きな波動が確認されている。コロナ第1波への対応と今後予想される第2波への対策を取材した。

    PALTAC 物流センターに他部署が応援、2倍強の発注量に対応

    PALTAC(大阪市中央区)では出荷貨物に対応するため、営業部門など他部署から物流センターへ応援に出ている。営業・商談先などリモート対応可能な企業が増加した状況が後押しとなったという。同社研究開発本部長の三木田雅和氏は「今年に入ってからマスクに加えて殺菌・消毒剤や家庭紙関連の需要が増大し、全体では昨年対比で約2倍強の発注量となった。関東圏の物流センターからはマスクが約3倍、殺菌・消毒剤は約10倍の発注量となった。全社一丸となった第1波への迅速な対応効果が出たのでは」としている。

    波動対策だけでなくセンター内での感染防止にも力を入れてきた。出退勤前の検温に加え、全従業員・パートスタッフへのマスク配布およびドアノブなどの感染媒介の可能性がある箇所の定期消毒、換気を行った。また、6月からはマスクのみならず熱中症対策としてフェイスシールドも支給している。パートスタッフが集まりやすいエリアを中心に新たに空調設備を導入したケースもある。

    さらに同社では、2017年から労働人口減少に伴う人手不足に対応可能なセンター開発を続けており、この取り組みが新型コロナウイルス対策としての「密」回避にも効果をあげた。RDC埼玉・RDC新潟などは同社独自のバラピッキングシステム(MUPPS)を導入しており、従来と比較して1人当たり2倍の出荷物量対応を可能としながら、作業者同士が近距離で交流することなく密回避となっている。特に、埼玉RDCなどは各種自動化設備導入が進んでおり、人手に頼らない物流を実現させるだけでなく、同社開発の自動入荷検品システム・入庫予約システムが連携することでドライバーと庫内作業者との接触機会を提言させるなど様々な場面で活躍を見せた。

    三木田氏は「コロナ第2波が直近に発生することを想定し、センター内で感染者を出さない環境づくりを第一優先に対応している。一方で人手不足への対応として取り組んできた、人員生産性の向上や働き方改革につながる人にやさしい物流に向けたロボット化や自動化は、今回のコロナ感染症や、将来発生する可能性のある新たな感染症に対しても有効であると考えており、RDC埼玉に導入した各自動化設備の性能向上、自動化構成比率向上など新規設備やシステムの開発を進めている。MUPPSのさらなる進化、各種ロボットの取扱い可能商品数の拡大なども含め、改善や新たな仕組みづくりに向けた徹底的な取り組みを通じ生産性が高く、災害や感染症の発生時にも強い物流センターを構築し、商品をお届けするという社会的役割を果たせるよう努めていく」と話す。

    キユーピー 納品リードタイムを延長、恒久化で遅延なく配送

    キユーピー(東京都渋谷区)では、料飲店・給食用商品等の業務用向け商品の販売物量が減少した一方で、代表商品の調味料やパスタソースの販売物量が在庫調整ならびに物流波動の対応に追われることになった。

    同社は2019年12月末から、納品リードタイムの延長を繁忙期のみ対応から恒久化へ変更しており物流波動の激しい中、大きな遅延なく配送を完了させることができた。

    さらに4月の緊急事態宣言後に物量波動が大きくなった後も、恒久化への了解が未取得の企業などの協力を取り付け、約95%のリードタイム延長を実現し乗り切った。配送面では他にも加工食品企業との共同配送、余った冷凍車両のドライ貨物輸送転用など様々な工夫を行っている。

    同社ロジスティクス本部の前田賢司本部長は「波動は大きく、普段からつながりのある協力運送会社はもちろん、新たに配送を依頼する傭車も確保する必要があった。また傭車についてもピーク時だけ都合よく活用することはできないので、先々の活用を踏まえておつきあいいただける形を目指す必要もあったので、バランス取りには苦心した」と話す。加えて配送センターについても「物量波動による業務バランスの解消のため、物量が減少した低温物流センターから、近隣の物量が増加した常温センターへ応援に出ることもあった。検品レスなどの接触回避・効率化の検討、ドライバーの感染対策としてマスクの配布も行っている。しかし4月などは待機時間が増加するなどの物流課題もあった。コロナ禍で止まっている検品レスのテスト再開を目指す」としている。

    また、同社の大きな動きとして受注需給業務のテレワークへの対応もある。同社には東京オリンピック・パラリンピックを見越してテレワークの準備を年初から進めていた土壌があり、グループ各社ならびに関係各署の協力を得ながらテレワークを推進。3月は約70%の出勤率を達成し、4月、5月は約60%の出勤率を実現。8月からは50%以下の出勤率を可能としていく見込みだという。

    なお、同社では第2波対策など将来に向け様々な取り組みが進行中。検品レスに向けた商談・システムテストも再開見込みとなっている他、加工食品業界内における標準化にも注力していく。

    前田氏は「第1波での課題から欠品対策としての在庫確保ならびに配送・納品体制、加えて省力化をはじめとした感染対策を進めている。物量の波動による食品ロスについてはPOSデータなどの購買データを活用し、ロスの削減を図っていく」とし、「将来に向けて、通販需要増への対応も見据えている。春からECの売り上げ増も確認されており、EC対応に向けた物流加工・足回り強化などを進める」としている。

     
     
     
     

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