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物流ニュース
引越市場はダンピング合戦 「違法性はない」と国交省
2021年2月16日
春の引っ越しシーズンを前に、引越市場では、熾烈な「ダンピング合戦」が続いている。インターネットによる見積もりが普及した今、利用者による相見積もりが急増。その結果、一部地域で、これまで以上に大手を中心にダンピングが横行。引越運賃と「標準的な運賃」は別物だが、一般の中小運送事業者が「標準的な運賃」を何とか定着させようと努力しているところでの堂々たるとダンピング。引越市場のダンピング合戦は、引越事業が無関係の中小運送事業者にも「荷主企業や利用者に誤解を与える」と危惧する声も出始めた。
引越料金は、基本的に①基本運賃②実費③付帯サービスの3要素で構成。基本運賃は、引越専業者の場合、別建て運賃となり、各社が独自に国に届け出を行い運用している。実費は作業員の人件費や梱包資材、高速通行料など。付帯サービスは、エアコンの取り付け、取り外し、ハウスクリーニング、新聞の予約、パック料金など様々なサービスの提供料金。
ある大手引越専業者のケースでは、名古屋から東京への引っ越しで、5トン車を選定。距離は350キロで基本運賃は7万2000円。それに作業員1人(ドライバーとは別)の人件費として2万4000円を計上。その他付帯サービス料が5000円で計10万1000円。そこから5万7364円を値引きして4万3636円。消費税が4364円で合計4万8000円と見積もっている(写真)。強烈なダンピングだ。
別の大手のケースでは、熊本市内の単身女性の引っ越しで、2トンロング車の基本運賃として6800円を提示。「標準的な運賃」の距離制、時間制よりも相当低い金額だが、これに発着地それぞれの荷役作業員料各1万5000円を加え、3万6800円。そこから車両・人件費値引きとして2万4800円を差し引き、1万2000円となり、消費税とパック料金を加えた1万4850円で見積もっている。また、ある専業者の場合、大阪から静岡まで4トンロング車で「運賃6万円」とだけ記入。税込み6万6000円で見積もっている。マンションから戸建てへの引っ越しで、家財道具もそれなりにあると思われるが、かなり乱暴な見積もりだ。
実際、ネットで調べると、同じ引っ越しでも、最低で1万円台から最高12万円を超えるような見積もりが出てくることもあり、消費者を惑わせる。ダンピングをしている各社に聞くと、「安全に輸送し、サービスも充実している。何の問題もない」との答えが返ってきた。引っ越しは会社の知名度がものをいうので、数をこなすため「とにかく相手より安く見積もれ」とのムードがあるようだ。
コンプライアンスを重視し、見積もりもきちんと常識的に行っている引越専業者は「もうめちゃくちゃになっている。これではやっていけない」と嘆く。
国交省によると、こうしたダンピングは、基本運賃の部分でも「別建て運賃」として、一律に上下10%などは適用されず、当該事業者の自由裁量で、何か問題があれば「事後届け出で変更可能」なため、とくに違法性はないという。
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下請け、孫請け業者は相当きつい、エアコン業者なんかは多少嘘ついてでも追加を取りにかかる。でないと儲けがない。
元請けはわかっていても「それは私どもがしたわけではない。」の一点張り。
比較サイト運営企業も火に油を注いでいる。
どの業界でも言えること「人の繋がり、感謝の心」忘れてる。
建前じゃいいことばっかりじゃダメだ。
引っ越し業界って人手不足でバブルじゃなかったっけ?戸建てで40万とか・・・・。これもコロナの影響?
5トン車(笑)
そんなの無いし見たら5立米じゃん。
2トンの半分も無いわ。
見積がいい加減なのはどの業界でもある事。
客だって総額でしか見ない。
総額安けりゃ客も感謝。