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    燃料サーチャージ制度 導入に見られる乖離

    2008年5月27日

     
     
     

     燃料サーチャージ制度導入への取り組みは進んでいるのか。
     国交省が主導する「中小企業の成長力確保」を目的とした制度の導入と、商取引の実態からみた導入との間には一見同じように見えて、実のところ少し乖離しているように受け取れる点がある。制度の「導入」の定義があいまいになっているためだ。


     「燃料サーチャージ? そんなもの言われなくても以前からやってるよ」。落ち着いた様子でそう話す事業者が予想外に多い。国交省が制度導入の旗振りを始めたのが3月。なぜ以前から多くの事業者が導入できたのか。
     ある事業者は今年初め、荷主との交渉で燃料サーチャージ導入を獲得。昨年末、国内の軽油価格が110円を超えたことがきっかけだった。
     交渉開始は昨年秋からという事業者は「口頭で『燃料が上がって苦しいです』とだけ伝え続けた。運賃を上げてくれとは一言もいわなかった」。
     年が明けて軽油の価格推移の表とコスト増加分を表した文書を持っていった。当時の相場満額での値上げは認められなかったが、相場と10円程度の差額にまで燃料のコスト負担分を転嫁することができた。
     「いきなり文書で要求では通らない。荷主といかに駆け引きができるかが勝負」と見ており、今また続騰している燃料価格を、どのタイミングで転嫁できるのかを探っている。
     ところが、国交省の「導入」の定義にはこの事業者は当てはまらない。国交省の定義の要点は、(1)燃料価格が変動するごとに自動的に転嫁するように制度を導入すること、(2)事業法上の報告規則に基づいて運賃の変更届を運輸局に出すこと──の2点だからだ。
     今月初旬段階で本紙が各運輸局に聞き取りを行ったところ、届け出した事業者数は全国で50に満たなかった。1000事業者に1社にも満たない水準だ。国交省が主導する制度を法的に導入している事業者と、商取引上の実態として導入している事業者の数はかなり乖離しているようだ。
     100台規模のトラックで食品を扱う別の事業者も同じ様子だ。この事業者は運輸局の説明会場で担当者に、法的な導入とは何かを質問していた。「ひと月ごとに燃料価格の平均を出して、コスト増加分を荷主に請求していますが、これはいかがですか」。
     商取引の実態上から言えば、このやり方でもかなり手間がかかる。運輸局の担当者は「燃料価格が変動するごとに請求を変えてください」と説明するだけだった。

     
     
     
     
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