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物流ニュース
黒姫 「安全」と「環境」を意識して経営を展開
2008年10月8日
建設現場で排出されるがれきなどの運搬をメーンに手がける黒姫(渡辺明彦社長、東京都足立区)は「安全」と「環境」をテーマに、さまざまな取り組みを展開している。
6月には自動車事故対策機構(NASVA)が提供する運転適性診断サービス「ナスバネット」を、全国に先駆けて導入した。同社の運行管理責任者を務める総務部の大熊基子部長代理は、「自分の運転にプライドを持っているドライバーも、(同サービスを使うことで)自分の癖や特徴を再認識できるようだ」と効果を説明。
ドライバーに指導する大熊部長代理(右)
また、「ドライバーとのコミュニケーションの機会が以前よりも増えた」とも話す。まだ導入して3か月に満たないことから、「具体的な数値として効果が見えてくるのはこれから」としながらも、「ドライバーからの評判は上々」だという。「『安全』への意識が高い風土を作り上げたい」という導入目的はクリアしているようだ。
渡辺社長によると、同社は、デジタコやドラレコの導入も早い段階から進めてきたという。しかし、「無事故は日々の積み重ねによるもの」とし、ナスバネットの導入は、「さまざまな対策に加えて、『さらに一歩先へ踏み出す』という意味があった」と話す。
また、「安全」とともに重視しているのが「環境への貢献」だ。一例を挙げると、砕石処理業務にカーボンオフセットを導入した。
このプロジェクトを進めた加藤淳氏は、「エコドライブの推進など、CO2排出量を減らすための努力は最大限に行ってきた。それでも減らせない部分をカーボンオフセットの活用により相殺する」と仕組みを説明する。導入後の周囲の反応は、「顧客である建設事業者や同業他社は、大きな衝撃を受けていたようだ」と話す。
オフセットにかかる費用は、ダンプ一台あたり96円を価格として顧客に転嫁。その狙いを、加藤氏は「価格を負担してもらうことで、お客さまにも環境意識を持ってもらえる」と説明する。
渡辺社長は、「不正や偽装などをしないのは当然のこと。企業としての原点、根本的な責任を果たすことにプラスして、社会貢献や環境保持などにも取り組んでいきたい」と経営上の信念を説明する。
「『世の中のためになりたい』『お客さまのためになりたい』という創業時からの企業理念が、社員一人ひとりに引き継がれている。プライドを持ち、『社会に対して何かできないか』を常に考えている」。対策にかかる費用についても、「お金では換算できない効果がある」と、「費用対効果」の観点だけで測ることをしない。
渡辺社長
■労働環境改善にさまざまな工夫
黒姫は、従業員の「働きやすさ」の確保にも力を入れている。同社の分田貴幸氏によると、「疲労が溜まると事故につながる。これを回避するために、さまざまな工夫を凝らしている」という。
具体的には、「花を飾る」「マッサージチェアの導入」などリラックスできる環境づくりのほか、処理工場では「効率の良い作業動線の確保」といった業務の見直しも積極的に行っている。
その結果、同社の本社事務所は東京労働局から「快適職場推進計画認定」を受けている。9月には処理工場も認定を受けた。「認定を受けるには、まず計画を立てる必要があり、そのために工場のスタッフに『何がキツいか』などのアンケートを取った」。同氏は、環境整備そのものはもとより、「従業員に『意見を聞く』姿勢こそが大事」とも話す。
加藤氏(左)と分田氏 -
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