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  • 射界

    2016年1月25日号 射界

    2016年1月28日

     
     
     

     所用で外出する。駅までの道で近隣の知人に会い、「お出かけですか、どちらまで…」と聞かれる。内心、「大きなお世話…」と思いながらも、笑顔で「ちょっとそこまで…」と答える。「お気をつけて」の声も待たずに先を急ぐ。よくある風景だが、傍から見て滑稽に映るだろうが、これもコミュニケーションの一つだ。


     ▲世知辛い世の中、自分のことで精いっぱいだ。他人様のことなど構っておられるか、と言った感じ。それだけに、道端で交わされる他愛もない言葉のやりとりにも、なぜか温かみさえ感じる。自己中心的な世相の中で、知人の呼びかけに対し反発してはいけない。他愛もない呼びかけであったとしても、わが存在を認めてくれた証しであり、れっきとした挨拶の役目を果たしているのだ。

     ▲筑波大学に在籍していた教育学の碩学は、人間関係をよくするためには「ゆとりのある心を持ち」「他人と比較することなく」「お互いに距離をおいて接し」「他を先にする心を持つ」のが大切と説いている。夏目漱石の言葉を借りるまでもなく、いつの世代も「この世は住みにくい」のが定説。つい自己中心的な言動に走りがちで、自らの優位を保とうとエゴに向かい、その渦中に呻吟する。

     ▲「浮世は住みにくい」と言いながらも生きている限り、その渦中から抜け出すことはできない。エゴとエゴがぶつかり合って少しでも優位を保とうと戦い合う。そんな状況では、相手との距離が近過ぎて一部しか目に入らなくなり、全体像を正確に観察できず、やがて息苦しくなって余裕さえ失う。道端の他愛もない挨拶にも、それなりの道理があると理解すれば心にも余裕が生まれるだろう。

     
     
     
     
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