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  • 射界

    2017年3月13日号 射界

    2017年3月16日

     
     
     

     テレビなどで高邁な経営論を展開する人が会社を興して経営に携わったが、理想と現実の違いにぶつかって大失敗。自らの経営理論では企業は動かないことを悟り、やがて沈んだ。まさに「言うは易く行うは難し」である。問題ないときには大言壮語するのに、いざという時、すっかり黙って語らない御仁の姿と重なる。



     ▲碩学ニーチェは「黙っていて、いけない時にだけ語るべきだ。そして、自らの克服してきた事柄を語るべき──その他は一切、饒舌に過ぎない」と語る。人は物事を語る中で、自己アピールする姿勢をほのめかすところがある。その姿勢も実体以上に大きく見せようとするから厄介だ。世にいう雄弁とは、抑揚があって分かりやすく語り掛ける巧みさではなく、必要以外はしゃべらないことだ。
     ▲西欧には「雄弁は銀、沈黙は金」という教えもある。ギリシャの哲学者ピタゴラスも同じ趣旨で、「沈黙は無意義の言語に優る」とも諭している。往々にして、無意義で説得力に欠ける言辞を語り続ける人の話をよく聞けば、まさに時間の浪費でしかなく、「沈黙は話術上の一大秘訣」と言ったローマの雄弁家キケロの言葉とも重なるが、多くの人が表現を変えて同じことを語り伝えている。
     ▲世の中には、言葉や文字では表現できない深遠な内容を、こちらの心の力を絞って相手に伝えたいと思う。「以心伝心」すれば成功だが、それが叶わぬのが現実。饒舌に無駄な言葉を吐き続けるのがオチだ。仏の道を説く師弟の間では「阿吽」の呼吸で分かり合える域に達することが必然とされる。それには相当の時間と相互理解が求められる。凡人もその一端に触れれば幸いと願うばかり。

     
     
     
     
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