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射界
2019年3月25日号 射界
2019年4月1日
かつてアメリカが世界恐慌に巻き込まれたとき、それを題材にしたミュージカルが人気を呼び、その中で歌われた一節に「明日こそ希望だ。明日があるから希望がある」とあって不況にあえぐ人々を鼓舞したと伝えられる。歌詞の〝明日がある〟にインパクトがあり、人々に希望と活力を与えた。
▲ともすれば、私どもは「明日があるさ」に甘えすぎる側面がある。甘えの裏側には「明日」と言う期待感に酔い痴れ、「今を大事にしない」気持ちが働くからだ。今を精いっぱい努力することなく、つい安易に過ごそうとする人に〝逃げ口上〟を与えかねない。「今日はまあまあで過ごそう」とする人がいる一方、希望と期待を込めて「明日に臨む」人とは真逆だ。
▲人は色んな理由を付けて楽をしようと画策する。単なる怠け心から先送りした事柄が、上々の仕上がりを見せる例は少ない。甘い考えが働いて細部にまで気配りができず、気付いて修復を狙っても想像以上に手間と時間がかかる。「あのとき、やっておけばよかった」と悔やんでも後の祭りだ。「明日があるさ」の甘えが災いして、悔悟のホゾを噛むことになる。
▲だからと言って、刹那主義を推奨するつもりはない。ただ一瞬一瞬を大切にしたいと思うだけ。何気ない一瞬も、深く考える一瞬も、文字通りアッという間に過ぎ去る。後から思い出そうとしても呼び起こすのは難しい。そうであればなおさら、「明日があるさ」と安易にやり過ごしてはいけない。二度とやってこない一瞬を、希望と期待に乗せ頑張ることだ。
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