国交省が「５台」の見直しを含めた事業参入規制を検討するという動きに対し、既存のトラック事業者らには冷めた見方が目立つ。「何もわからずに規制緩和して申し訳なかったと謝る代わりに、過当競争にある業界の将来ビジョンを考えるという言い回しで問題をすり替えているにすぎない」（岡山市の運送会社）と厳しい意見だ。

　昨年、いわゆる５台割れ事業者を対象とした特別監査が全国的に実施されたが、いまや実運送の10％以上を５台割れが占めるともいわれる。「そうした現状で単に台数規制を以前の７台や10台に引き上げても、果たして業界健全化に直結するかは大いに疑問」（広島市の運送会社）というわけだ。

　もっとも、「規制強化」に反対する事業者が見当たらないのも事実。入り口を狭めることで過当競争への歯止めを期待するためだが、「業界の将来を真剣に考えるというなら、むしろ取扱専業者の扱いを見直すべき。実運送の行政処分を強化するのと同様に厳しい態度で臨めば、台数規制は後回しでも構わない気がする」（神戸市の運送会社）。こうした声は若手経営者らの間で目立っている。　（長尾和仁）