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    トラックでユーザー車検が増加 安易な利用に危機感も

    2010年8月10日

     
     
     

     トラックのユーザー車検が増加傾向にあるようだ。関西のあるトラックディーラーによると、今年に入ってから車検を受けるトラックの台数が1割程度減っているという。減車して車検を受けないケースもあるが、今まで車検を依頼していた事業者の中に、ヘッドライトの調整だけ頼んで、その足で運輸支局の車検場に直行するところが出てきているという。車検に伴う整備料金が重荷になっているようだが、運輸局関係者は「車検に合格することは次の検査までを保障するものではない」と、安易なユーザー車検に警鐘を鳴らしている。



    syaken_0809.jpg 「運輸支局にそのままトラックを持ち込んでいる」と話す関西の運送会社社長。同社は大型車、4トン車のユーザー車検を数年前から実施しているが、これまで不合格になったことはないという。「ブレーキの利き、タイヤの溝、ヘッドライトの球、ガラスの破損、油漏れをチェックしておけば通る。登録のようなもの」と話していた。

     車検はディーラーなど専門の整備業者に頼めば、4トン車で15万─16万円、大型車で20万円はかかるようだが、ユーザー車検では重量税、自賠責、印紙代など最低限の必要経費で済むので、4トン車で6万円、大型車なら8万5000円程度で済み、経費が大幅に削減できるという。

     元々、車検については、点検整備を行わずに受けることはできなかったが、平成7年に規制緩和で道路運送車両法が改正され、車の所有者の自己管理が打ち出され、自動車の点検整備は国の検査の前後を問われないようになった。つまり、車検を受けた後に整備を実施する「後整備」が可能になった。乗用車でも格安のユーザー車検が全国的に爆発的な広がりを見せているのは周知の事実。そのユーザー車検がトラック運送業界にも広がろうとしている。

     「トラックのユーザー車検自体はまったく問題ないが、問題は『後整備』の実施」と指摘する運輸局関係者。事業用自動車では3か月点検とともに12か月点検が法律で定められているが、12か月点検では分解整備が必要になる。分解整備はブレーキなどの制動装置、プロペラシャフトなどの動力伝達装置といった安全走行上、重要な個所を分解して調べている。

     分解整備を行うには有資格者と設備を備える必要があり、自社に認証整備工場を持たない運送会社では専門の整備業者に委託することになるが、この後整備がきっちりと行われているのかを懸念する。

     最近、定期点検整備の未実施で行政処分を受ける運送事業者が見受けられるのは否めないが、毎回、車検を整備工場に委託しているという運送会社社長は、「車検ではブレーキのライニングの状態は調べない。利けばいいだけ。大型車では3か月点検、部品交換含め、年間で整備に35万─40万円は見積もる必要がある。目先の経費削減にとらわれて重大事故を引き起こしてからでは遅い」と、安易なユーザー車検の広がりに危機感を募らせていた。(大塚 仁)

     
     
     
     
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