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労組加入が周辺へ飛び火 法令守らぬ会社で労働争議
2010年8月23日
労働時間改善や社保加入などコンプライアンス経営が求められる運送業界だが、一方で「法令順守していては経営が成り立たない」という声も根強い。なかには、法令をいかに守らないで経営するかに腐心する事業者もいる。経営者がどんな経営方針を立てるも自由だが、不法行為から労働争議が起こり、近辺の事業者にまで影響が及べば1社だけの問題ではない。違法な運送業者で起きた労働争議が、周囲にまで飛び火したケースがある。
神奈川県で運送業を経営するA社は、持ち込みドライバーを使っていた。先代の時代からの流れで、現在の社長も何の問題意識も持っていなかった。コンプライアンス重視の同業者の努力など関係ないとばかりに、同社長は「法令がわからない。昔から持ち込みを使っていたから良いのだ」といった認識だった。
法令をどうすれば守れるかよりも、法令を守らない方法に興味を示すタイプだ。社保未加入についても、ドライバーには荷主の責任と説明していた。
だが、社保加入もままならない経営状態と聞いているのに、社長は最高クラスのクルマを自家用車にしていることから、従業員が社長に不信感を抱き始めた。そこで従業員が社外労組に加入したのを発端に、同社に労働争議が起こる。労組幹部も来ての団体交渉が始まったのだ。
不法行為は事業者側にあるので、攻める部分はたくさんある。事業者が法令について無知であったための自業自得ともいえるが、迷惑したのは周辺の同業者だ。勢いづいた労組に、周辺の事業者の従業員までも加入を始めたのだ。
同じ地域で法令順守を徹底している事業者の目には、そうした存在自体が運送業界をおとしめるものと映る。本人の不勉強と性格で法令順守を軽視して市場から淘汰されるのはかまわないが、まじめに努力している周辺事業者にとっては迷惑この上ない存在のようだ。(千葉由之)
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