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オール歩合が一番危険 未払い賃金問題
2010年11月30日
奈良県のある運送会社は、平成7年に労働組合に加入する27人の従業員から、過去2年間にさかのぼる未払い賃金計2億4000万円を請求される裁判を経験した。4年間争い、最終的に8000万円の未払い賃金を支払うことで決着したが、その後、同社は賃金体系を大幅に見直した。
「オール歩合が一番危険で、未払い賃金問題が発生しやすい。給料明細に基本給と残業手当が明確にされていないのが誤りだった」と社長。歩合給の時間外割増賃金は、歩合給を総労働時間で割った時間単価の2割5分増になるので、オール歩合で給料計算すると時間単価が大きく膨れ上がる。社長によると、支払っている給料を逆算して基本給と残業代に分けることで未払い賃金問題の解決につながるとしている。週の所定労働時間は40時間。月では173時間になり、これを超える労働時間について時間あたり2割5分増の賃金が発生する。諸手当を含めた基本給を173時間で割り、時間外労働分については、その時間給の2割5分増にしたものに残業時間をかけ、そのトータルが現在、支払っている賃金になるように調整することが大切だと話す。
同社の従業員の平均労働時間は1か月250時間。173時間を超えた77時間が割増賃金の対象だが、同社では時間割増部分は待機手当、運行勤務手当、各種割増手当などに代えて支給している。時間給で給料を支払うことで運転者が故意に労働時間を稼ぐサボタージュに走る行為を防ぐためで、時間軸での計算は避けているという。
賃金体系を見直してから労使間のトラブルは一切なくなった。社長は、「労働時間があいまいになりがちな業種だからこそ、従業員が納得して働ける仕組み作りが必要で、肝心なところを明確にすればもめごとは起こらない」と話す。また、「時間給が最低賃金を下回っている事業者もあるようだが、安い仕事は最初から請けてはならない」とも。(大塚 仁)
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