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    「指導」なき「処分」に怒り 運輸局の監査手法

    2010年12月24日

     
     
     

    truck5_1220.jpg 「99点のアラを探すことばかりじゃないか」「処分のためではなく、日ごろから指導に来てくれ」。運送会社を訪ねる日常のなかで、出くわすことも珍しくないシーン。管轄する運輸局による監査だ。重大事故の発生に起因して、その後の警察からの通報によって運輸当局が監査に入るケースが目立っているが、なかにはGマークなど優良事業所と認められている事業者にも厳しい処分が科される現実がある。先に特別監査を受けた運送会社では「事前に指導を徹底することで防げる処分があるし、そのために適正化機関の指導員も動いているはず。現状は運送会社の処分が目的のようで、事業の適正化は機能不全になっている」と話しているが、運輸局の監査手法に憤りを隠せない運送経営者らは少なくないのが実情だ。



     死亡事故を端緒に、そのトラックが所属する営業所の非合法ぶりが明るみに出てしまった食品輸送の運送会社。非合法とはキツイ表現だが、点呼は不完全でハンドル時間など運行管理も大ざっぱ。そういう状況で起きたドライバーの「居眠り」による死亡事故だったことから、「事業停止の可能性もあると感じた」と同社社長。

     「長距離の仕事ではないものの出発時間は早朝で、帰庫するのも夜遅いために事務所は不在。何が正しい点呼の方法なのか、そんなことは頭になかった」と、今夏の出来事を振り返る。「社会保険まで指摘されたが、そこまで追及されるのはトラック事業くらいだろう。いまさら加入しても年齢的に受け取れないとわかっているドライバーまで強制できるはずがない」と、儲からないなかで「事故を起こせばオシマイ」に近い状況へと追い込まれる当局の監査に納得できないまま、運輸支局に「廃業」を申し出ることで、自らトラック事業の経営に幕を引いてしまった。

     一方、同じく死亡事故を起こした中堅の運送会社に運輸局の監査が入った場面に過日、たまたま遭遇した。酒気帯びや過労、過積載などの悪質違反があったわけではなく、むしろ安全対策や労務管理に真剣に取り組んできた同社。そんな事業者が起こした重大事故に絡んだ監査の場合は一体、どんな感じなのかと様子をうかがっていると、同社の幹部が「99点の会社からアラを探すことばかり口にするなら、見習いに行くから100点の事業者を教えてくれ」と抑え気味に切り出したが、複数いた担当官らは「…」。

     決まった通りの受け答えと、形式的に必要書類を持ち帰ろうとする担当官の仕草に「アンタらを気にしてルールを守ろうとしているのではなく、私らは荷主に選んでもらう事業者になるために努力している。指導に来ているのか、処分のためだけに来ているのか」と怒りのボルテージは最高潮。熱くなる幹部を抑える格好で、別の幹部が「きっちり法律を守りたいと考えているが、どうすればいいのかわからないのが現実。日ごろから指導に来て欲しい」と穏やかな口調で求めたが、この場面でも担当官から歯切れのいい回答は聞こえなかった。

     また、行政処分の内容が厳しさを増すなかで「Gマークを取得した事業者が重大処分を受けるのは腑に落ちない」と話す運送関係者も出ている。「マークを取得するには適正化指導員のチェックを受けているわけで、それで高い評価を受けた格好の事業者が運輸局の監査では厳しい処分を受ける。一体どういうことなのか」という思いだ。

     100点のトラック経営が難しいとされる現状を踏まえれば、「指導」なき「処分」を懸念する声が小さくないのは、ある意味で当然のことなのかもしれない。(長尾和仁)

     
     
     
     
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