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    北海道で冷凍車の性能巡り裁判 運送会社とディーラー

    2011年4月19日

     
     
     

     性能に問題があるため使用されていない冷凍車のボディーに対し、運送会社がリース代金を何年にもわたり払い続けるという、おかしな事態が起きていた。責任の所在と補償をめぐる運送会社とディーラーとの話し合いはこじれ、裁判所にまで持ち込まれた。運送会社は「ディーラーの不誠実な交渉態度で問題が長期化した」と憤る。ディーラーはボディーに問題があることは認めるが、「運送会社の指示通りに車両を造ったまで。こんなにクレーム問題が長引くことは初めてで頭が痛い」と話す。購入から4年目を迎え、双方がようやく合意に達し、問題解決にいたった。



     平成19年2月、北海道の運送会社は、地元ディーラーから大型冷凍車1台をリースで購入。仕様打ち合わせの過程で同社は、冷凍食品を運ぶことを伝え、当初、ボディーの内寸法を2310ミリ、断熱材の厚さを全て75ミリにするよう指示。しかし、保安基準を満たすためには断熱材を60ミリにしなくてはならず、この仕様で発注した。冷凍車としては薄い仕様といえるが、同社では既にオール50ミリや60ミリの車両で冷凍物の輸送を行っており、これまで不具合はなかった。

     ディーラーと架装メーカーは、この仕様のボディーで冷凍物を積むなら、冷凍能力の高い冷凍機を使用したほうがいいと提案したものの、断熱材の厚さなどを含むボディーの構造や性能についての提案や助言は積極的に行わなかった。このボディーが冷凍食品の輸送用として適していない可能性は把握していたが、指示通りに車両を造り、納めた。

     納車後、同車両のボディーが冷えず、積み荷が溶ける事態が発生。架装メーカーは「冷凍食品運搬用の箱としては機能しない」ことを認め、「販売価格と休車損害を含めた額で引き取り、工場で、どこに問題があるか調べる」と対応し、運送会社はこれに応じる構えだった。しかし、本州にあるメーカーの工場まで、いつまで、どのように持っていくか、代わりのボディーをどうするか、休車損害をどうするか、といった話を詰めるまでに、ディーラーが交渉の窓口となり、箱の引き取り価格を徐々に下げ、話がこじれていく。

     この間、運送会社は20年8月、問題のボディーを下ろし、事故車両のボディーを改造してシャシーに載せ替えた。下ろしたボディーは、自動車修理工場の敷地内に置いた。

     ディーラーが提示する補償額は原状回復にもならず、休車損害の額にも開きがあると運送会社は示談を拒否。話がまとまらない中、この問題は裁判所に持ち込まれた。

     運送会社は「ディーラーが『第三者の視点で補償額を決めたい』と裁判を要求した」と主張。一方、ディーラーは「運送会社の主張と食い違いが発生しており、示談ができない。求めてくる休車損害の額が高く、ボディーの改造と載せ替えも一方的に行った。『第三者を入れて話し合わなければならなくなるので、歩み寄りましょう』と主張したところ、裁判となり、驚いた」としている。

     運送会社は平成21年4月、札幌地裁にディーラーを被告として「債務不履行に基づく損害賠償請求」を起こす。運送会社の言い分は「ディーラーは積み荷の商品価値を損なわない車両を販売する責務がある」「ユーザーの了解で車両が製作されたとしても、冷凍食品を積むとわかっており、不十分な性能の車両を販売したことは問題だ」「ユーザーが希望する製品がユーザーの需要を満たさないことが明らかな場合、十分な説明や助言を行うべきだが、これを怠った」というもの。

     対するディーラーは、「販売した冷凍車で不具合が頻発している」ことは認めるものの、自社の責任や債務不履行、運送会社が被ったとする損害についてはいずれも否認。「冷凍車の機能として十分ではないが、先方が了解した仕様で納めており、問題ない」と主張。

     裁判の過程で、運送会社は補償額を引き下げ、ディーラーも補償額を上積みして提示したが、それでも双方に約350万円の開きがあった。これが埋まらず、平成22年6月、運送会社は裁判所での損害賠償請求を取り下げ、ディーラーと直接交渉を行うことを選択した。

     これによりディーラーは「先方の都合で損害賠償請求を取り下げているため、この問題は終了している」と主張。道義的な販売責任はあると考えているものの、法的責任は一切ないという姿勢。

     運送会社はその後も問題解決のための交渉をディーラーに申し出るが、話し合いは進まず、時間だけが経過した。その間、修理工場の敷地内に置きっぱなしの「使っていないボディー」のリース代を運送会社が支払い続けるというおかしな状態が続き、購入から4年、下ろしてから2年半を迎えることになった。

     ディーラーは、その後も「どこまでも販売責任はついてまわる。放っておけばディーラーの姿勢が問われる」と考え、裁判で同社が提示した程度の額で和解するなら「すぐに支払う用意がある」と打診するも、運送会社はこれを拒否してきた。

     今年3月と4月にディーラーは話し合いの場を設け、両者は補償額の歩み寄りを行った。これまで提示してきた額から運送会社は約200万円引き下げ、ディーラーは約100万円引き上げて合意。ようやく問題解決にいたった。運送会社は、「合意した金額は必ずしも満足できるものではないが、これ以上、長引かせたくなかった」と話す。

     ここまで問題が長引いた原因について、運送会社は「ディーラーは出てくる人間によって言うことが違い、何も決まらなかった。補償額も向こうから提示し、それをコロコロと変えてくる。交渉の日程や問い合わせに対する回答も何度すっぽかされたかわからない。会社や弁護士に電話しても返答がなく、誰と話をしていいのかわからない。当初、架装メーカーが補償額を提示した時に解決しておけばこんなことにならなかった」とし、「架装メーカーに補償金額を提示するため内容証明を出してほしいと言われたので出すと、喧嘩をうったと言われ、第三者に補償額を決めてもらうために裁判を起こして欲しいと言われたので裁判をすると、これまでと態度を一変させ、責任はないと主張してきた。いったいどうなっているんだ」と憤慨。ディーラーへの不信感を今も募らせている。

     ディーラーは「クレーム問題がこんなに長引いたことは初めて。話し合いをすると、すぐに相場以上の休車損害の話となり、歩み寄りができなかった。そもそも、先方の指示に基づき造った車で、向こうから裁判を取り下げているにもかかわらず、解決に向けた姿勢を見せなかった」としている。(玉島雅基)

     
     
     
     
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