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    待機時間は労働時間か ドライバーが運送会社訴える

    2011年6月13日

     
     
     

    truck1_0613.jpg 「今の運送会社だったら裁判を起こせば金を取れる」──。そうした怪しげな言葉でドライバーに裁判を起こさせる輩がいる。「時間外手当の未払い」でドライバーから訴えられた神奈川県の事業者では、数年に渡る裁判が今も続いている。争点の一つは「積み込みの待機時間は労働時間か」という問題だ。



     荷待ち時間や渋滞による時間超過など、労働時間について頭を悩ませる運送事業者は多い。神奈川県で海上コンテナ輸送を手がけるW社は、ドライバーが訴えた裁判に「物流の実情で、コンプライアンスは無理という現実を感じる」と話す。

     同社は労基署などに相談しながら就業規則や給与体系を改善し、コンプライアンスを徹底した企業を目指してきた。だが自社の努力だけでは、どうにもならなかったのが労働時間だ。

     海コンターミナルの待ち時間は長い。今は横浜港で2、3時間、東京港の大井埠頭では6、7時間待ちという状況だ。この待ち時間は運送事業者の責任ではないのだが、荷主から「早く持ってこい」と連絡が入るのも日常的だ。「コンプライアンスは守りたいが、守れないのが現状。何とかならないのだろうか」と同事業者は話す。

     こうして労働時間超過とコンプライアンスの矛盾に悩む同事業者に、さらに問題が増えたのが自社のドライバーが起こした裁判だった。

     訴えたドライバーは、ある社外労働組合に加盟していた。きっかけはドライバーが起こした信号無視による人身事故だったようだ。事故の補償で金が必要だったドライバーに「裁判を起こせば会社から金が取れる」と、労組がそそのかしたのだという。

     同社は業務の性質上、待ち時間によって労働時間に影響があるため、「見込み残業代」として一定額を支払う仕組みにしていた。ドライバーは、これを「時間外手当の未払い」とし、付加金も合わせて会社側に1000万円を請求する訴訟を起こしたのだ。

     争点となっているのは、コンテナターミナルでの待機時間が労働時間に含まれるかという問題だった。この待機時間は事業者の責任だけでは対応できないものだが、今のところ裁判所からは待機時間は労働時間との見解が示されているという。

     だがドライバーにはタコチャート紙の改ざんなども発覚しており、裁判資料となる証拠書類に問題があることから、裁判では判決が出ていない。ひとつ言えるのは、怪しげな誘いで裁判を起こしたドライバーはタコチャート紙を改ざんしたりする悪質な従業員だったこと。そうした輩でも訴えられると会社側の責任が追及されかねない運送業界の実情だ。

     同事業者は「労働組合に入る権利もあるし、訴訟するのも自由だが、待ち時間については労働時間の管理が難しい。待ちたくて待っているわけではない。法は守りたいが守ることができない実情を知ってもらいたい。裁判官や弁護士でも、実際に運送に携わった人でないと理解出来ない部分があると思う」と話す。(千葉由之)

     
     
     
     
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