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    「嘘つき」になれるか 現場改善より「書類作り」優先

    2011年10月3日

     
     
     

    truck2_1003.jpg 「そりゃ無理だと思う。だって前身が(定時勤務が基本の)工場法なわけだから、不規則な勤務実態となるトラックドライバーに(いまの労働基準法が)当てはまるわけがない」というコメントは昨年、拘束時間や残業代など労使間に山積する難題の解消について地方の労働局に知恵を求めた際の回答。監督行政がそう認識する非現実的な労働環境への改善を、経営基盤の脆弱な中小トラック事業者が求められている。「役所を感心させ、ペナルティを軽減させる材料作りに必死になっている」と、ある運送関係者。安全確保に必要な現場の改革より、「証拠作り」を優先しなければならない実情が運送会社を「嘘つき」にさせると同時に、結果として考えられない行動や、重大事故を引き起こす事態にまで発展している。



     過日、雑貨品を積んだ西日本地域の運送会社の大型トラックが「停車中」に死亡事故を起こした。原因は「連続運転時間が4時間になった」ため、「スペース的に余裕があった路肩にトラックを止めたところへ後方から軽自動車が突っ込み、運転していた高齢ドライバーが即死した」(同社社長)というもの。こうした事故が近年、増加傾向にあるという。

     取引先からハンドル時間の法令順守を厳しく求められていたことで、「ドライバーらに適切な休憩の確保を執拗に指導してきた」が、大型車の駐停車場所が確保しづらい道路事情のなかで「4時間」を過剰に意識した結果と考えれば、問題は極めて深刻だ。

     片側が複数車線になっている2本の道路が合流する幹線で、合流部の先端にできるゼブラ地帯に停車していた中国地方の大型トラックも先に、同様の事故に見舞われた。駐停車禁止のエリアだけにトラックに非があることは否めないが、このケースでも「ドライバーは4時間を意識していた」と運行管理者。「もっと手前で休むことができたのは確かで、ドライバーの言い訳かもしれないが、彼らはロボットじゃない。体調がよければもっと先まで走りたいし、時計ばかりを意識させるルールに疑問もある」と打ち明ける。

     一方、かつて過重労働の疑いで行政処分を受けた近畿地方の運送会社の社長によれば、「あれを機に大幅に改善した」と話すものの、見直したのは運輸・労働当局に提出する可能性がある書類の書き方や保存方法。「うちはデジタコではないから、例えば4時間を超えた運行があればチャート紙にドライバーの直筆で理由を書かせ、それを指導した運管者の印鑑を押すということも基本になった」と、厳しい処分を受けたことで「皮肉にも押さえどころがわかった気がする」という。

     長距離運行ではクリアするのが難しいといわれる労働時間の問題を「言外に(行政マンから抜け道を)教わった感じがする」と話す社長もいる。「点呼も同じで、やること以上に重要なのは『やったことを示す証拠』。実際には不可能ということがわかっていても、例えば書類上は長距離トラックについて、『ツーマン運行』として記録を残すようにするのも同じだと感じた」と、厳罰を科せられた当時を思い出しながら話す。

     「嘘つき」になることで息をつなぎ、それを監督行政もわかっているというのが取材で得た実感だ。もちろん実運送を手掛ける各社が安全対策に余念がないのは間違いないが、幾重にも覆いかぶさる現実離れした関係法令と、低水準で流れる実勢運賃が結果的に「現場最優先の安全対策」を置いてきぼりにしている。「ワシらは毎日ドライバーの顔を見て、その日の調子や家族の様子も聞く。10人ほどの会社だからできることかもしれないが、この規模だから逆に大量の書類作りが大変。嘘をつくのがイヤなら、この商売をやめるしかない」と話す高齢オーナーの言葉が心に残った。(長尾和仁)

     
     
     
     
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