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Gマーク取得しても不採算続き意味なし
2012年2月16日
「Gマークの活用によるトラック運送事業制度の再設計は可能なはずだ」。Gマーク制度が創設された当時から認証を受けている事業者はそう考えている。再設計のポイントはGマーク認証の「強制化」。国交省の「トラック産業の将来ビジョン検討会」はぜひ、再設計案を取り上げてほしいと訴えている。
トラック20台程度で食品や雑貨の輸送を手掛ける兵庫県内の事業者に先月、Gマークの認証状とステッカーが届いた。しかし、事業者は「何の役にも立たない」と、ステッカーも机の上に放置されたままだった。この事業者が認証を受けるのは4回目。Gマークが創設された03年度から連続して認証を受け、今年度で9年目に入る。
しかし、トラック台数はジリ貧気味だ。昨年末、長く取引の続いていた荷主からいきなり半値の運賃が提示されたという。「そんな料金で、これまで通りの仕事ができるはずはない」。交渉を持ちかけたが、物流費カットが至上命題の荷主には聞き入れられなかった。事業者はこの荷主から撤退し、トラックと従業員を従来からある別の仕事に割り振る形の「ワークシェアリング」に切り替えた。売り上げは、削減されたトラック台数分、固定経費は余剰人員分という不採算の状態が続いている。
事業者は、「Gマークの認証があっても、不採算ではなんのための認証制度なのか分からない」と話しながら、次のような分析と提案をする。現行のGマーク制度は、仮に認証を受けられる事業者であっても、申請をするか否かは事業者が選択する「申請主義」を採用している。しかし、申請主義の形を取っていては、許可基準を満たしているにもかかわらず制度の存在を知らないために申請しない事業者であったり、認証制度なんて必要ないといった信念で取得しない事業者などが存在しても、それらの事業者を責めることは制度上できない。
そこで、認証を受ける水準を満たす事業者にはすべて、Gマークを付与する、もしくは水準を満たした場合には事業者に申請を義務付ける強制制度に改められないか。申請主義のもとでは判別できなかった「善意の未認定事業者」をあぶり出すことで、Gマークが本来担うはずの安全性の担保を対外的にももっとPRできるはずだ。
申請主義から強制制度にすることの業界内部で果たす役割は、「正直者がバカを見る」としばしば表現される現行制度を改める意味合いがある。
さらには、社会保険未加入に代表される適正化事業が進まない理由として、「運輸局監査部門の人員が足りない」といった適正化の過程で物理的に発生する問題にも、Gマークの強制化は寄与する。ステッカーの有無によって法令順守状況を「見える化」しておけば、運輸局の職員を増やす必要もなく、事業者間や荷主、市民が判別することもできる。
こうした施策のパッケージが「将来ビジョン検討会」でなぜ議論されないのか。事業者はいぶかりながらも再設計案として取り上げてほしいと話している。(西口訓生)
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