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    給電スタンド撤退も驚かず 「やめるタイミング探していた」

    2012年2月27日

     
     
     

    stand_0227.jpg 東京電力が昨年末、トラックのアイドリング・ストップを促進させるために力を注いできた給電スタンド事業から撤退することを表明し、これを受けて事業パートナーである中部電力も今月6日、3月末でサービス提供を終えることを決めた。一方、システム開発を共同で進めてきた日野自動車も1月中旬以降、専用のパッケージクーラーを取り付けたトラック事業者らを回って装置の販売および、アフタサービスが終了する旨を説明。ト協などから一部補助があるとはいえ、1台当たり50万円近い上乗せの投資で環境対策の装置を取り付けたトラック事業者とすれば一大事だが、意外にも大騒ぎになる様子はない。環境大臣賞まで受けたエコ事業は実証試験から7年足らずで姿を消すことになったが、関係者らに話を聞くなかで「やめるタイミングを探していた」ともいえる状況だったことがわかった。(長尾和仁)



     外部に設けられた給電スタンドからトラックに電力を供給することで、仮眠などのために駐車するトラックのアイドリング停止を促進しようというのが、東電と日野自動車などが共同で進めてきた「外部電源式アイドリング・ストップ冷暖房システム」。トラック事業者が利用するには、外部から電源を取るパッケージクーラーが搭載された車両(日野製)を購入または、後付け装置の取り付けが必要。認証カード(1枚につき月額1050円)の申し込みを済ませれば、カードを使って東電が保有・運営する全国の給電スタンドで給電サービスを受けられ、使用した電気代は指定口座から引き落とされる…という流れだ。

     大臣表彰まで受けた環境に優しい取り組みだが、東日本大震災による甚大な影響で経営合理化を迫られることになった東電は同事業からの撤退を決め、ユーザーへの説明のなかで「迷惑を回避する方法として『他社への事業譲渡』『撤退時期の数年間の延伸』などを模索したものの(これらの方法は困難で)、事業を23年度で清算せざるを得ない状況になった」と陳謝。給電スタンドを設置している駐車場オーナーへのスタンドの残置を継続して要望するとしているものの、本紙には「具体的に話せる段階ではないし、そもそも(マスコミなどに)公表するような内容ではない」と説明。

     二酸化炭素の排出抑制に有効な一策と考えれば、東電が個別に抱える問題と切り離し、別の組織体によるサービス継続を探る動きがあっても不思議ではないが、そうした動きは鈍い。むしろ「これを機に手を引くことができる…そう考えた関係者も多いのではないか」との声がある。

     実証試験の開始から7年弱の期間で、全国のガソリンスタンドや高速道路のサービスエリア、トラックステーションなどに設置されたスタンドは38か所・131基(259台分=昨年7月1日時点)。インフラ整備も十分ではないが、さらに驚くのは外部給電に対応したトラックの少なさ。ト協なども補助金を出すことで導入促進を図ったが、「トータルで100台も売れていなかった」と話す日野自動車(広報担当者)では、「販売終了後の対応説明のためにユーザーを個別に回っている」と話す。

     さらに、スタンドの残置を打診された駐車場オーナーらに事情を聞くなかで、「引き際を見失っていた」ともいえる同事業の実態が見えてきた。燃料販社は「もともと利用が少なく、(東電の撤退後に)事業を引き継ぐことは難しい」(一光)、「東電からは(継続か廃止の)選択肢を示されたが、とにかく需要がない。一部ユーザーからは継続の要望もあったが、他社と同様に撤退を決めた」(エネクスフリート)、「契約は3月9日までで、その後のスタンド撤去を求めている」(宇佐美鉱油)という。

     「軽油価格がリッター140円を超えた当時はよかったとしても、いまの値段では電気代のほうが高くなる」と、トラック業界の懐具合が利用者離れを加速させた面もあるとの指摘も。関係者の間では「運行途上にあることで他所に比べて利用頻度が高いと聞いた」といわれていたのが高速SAに設置されたスタンドだが、ここでも厳しい数字が聞かれる。

     ネクスコ中日本によれば「最も多く使われていたのは東名高速・牧の原SA(下り線)だが、それでも最高で月間に10回程度。電力会社が撤退ということなら、おのずとサービス終了となるだろう」と広報担当者。また、全国131基の給電スタンドのうち、40%近くを占めていたのがトラックステーションだが、全ト協も「東電が撤退するということで、中止せざるを得ない」としている。

     一方、ユーザーであるトラック事業者にも大騒ぎする姿は見られない。「1台で50万円に近い投資も2、3年で回収できると思っていたが、軽油価格が下がって計算が狂った」「取り外すことで積載重量を例え100キログラムでも増やすほうがマシ」といった声は聞かれるものの、残念がる声はほとんどない。むしろ「そういえば数年前に導入したが、どこにいったのか…」という信じられない例や、「車内のコンセントは使えるので、12V用の家電を持ち込んで使う」とサービス終了を意に介さないユーザーも。

     一部では、駐車場オーナーがユーザーへのアンケート調査などを踏まえて継続の方向を独自に探る動きもあるといわれるが、「環境問題と向き合うアピールにはなり得るが、赤字覚悟となればユーザーへ負担を強いる可能性もある」と関係者。「引き際が肝心ということではないか」と話している。

     
     
     
     
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