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神戸港コンテナ24時間化 ひっそりと終了
2012年5月8日
国が補助した後に、民間事業として継続されるはずだった神戸港の「24時間オープン」のモデル事業が、3月末でひっそりと終了していたことが関係者の話で分かった。需要は当初の計画の7割程度しか伸びなかったが、事業が始まった昨秋からその必要性に関して疑問符が投げかけられていた。事業を担当した近畿地方整備局は、今後の方向性について全くめどが立っていないと話している。
「平成24年3月末まで国が支援し、その後は事業化し継続することを目指す」。神戸港の24時間オープン事業について、国交省が昨秋の段階で出していた広報資料の一節だ。だが、関係者によると、今年4月以降は国の支援がなくなり、民間による事業化もなされていない。制度廃止の事実について国交省は4月中旬現在、広報はしておらず、業界関係者も一様に制度の廃止に気付かなかったと話す。24時間オープン事業は昨年10月31日から全国で唯一、神戸港だけで始まった。期間は今年3月30日までの約5か月間。「経団連など、荷主側からの要望があった」(近畿地方整備局港湾物流企画室)というのが発端だという。
事業のスキームは、ドレージ(コンテナ陸送)とコンテナターミナル(埠頭)との接点を24時間化し、1日の中でオンデマンドで国内の荷主が貨物をターミナルに搬出・搬入することができるようになるというもの。
ところが、24時間化で拡大された時間帯に実際に利用されたコンテナの本数は港湾物流企画室によると、5か月間でおよそ300本で輸入貨物の割合が少し多かった。当初の計画では、国交省の予算化の根拠数値で、同期間に400本程度を想定していたという。
国交省の補助金は、契約の相手方である「神戸メガコンテナターミナル社」(KMCT)に支払われる予定だ。KMCTは、24時間化されたことで従来の経費より多く発生する人件費、燃料などをまかなうのに国交省からの補助金のほか、荷主やドレージ業者に請求する利用料金(コンテナ1本2500円)を充てる仕組み。具体的には、KMCTが要する費用が利用料金で賄えない赤字分を国交省が補助金として補填する。
利用料金は、5か月間の利用本数を掛け合わせると、約75万円と算出される。また、KMTCは同期間に最大5900万円の赤字分の補填を受けられる契約を国交省と結んでいる。
国交省による補助制度も、KMCTなど港湾運送事業者による民間事業化も成り立たなくなっていることについて関係者は、「補助額の最大値と利用本数があまりにもかけ離れており、初めから民間による事業化など考えていなかった可能性がある」と話している。またある国交省の関係者は、「霞が関(国交省)が予算獲得のために民間による事業化を潜り込ませただけの、作文に過ぎなかった」と話す。(西口訓生)
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