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厳しい北海道経済 経営者から学ぶ生き残りの道
2012年8月28日
厳しい情勢が続く北海道経済。市場の縮小に伴い、北海道の物流業界も縮んでいくしかないのだろうか。実際に、道内の物流業界の経営者からは「売り上げがどんどん減っている」といった声を聞くことも多い。このような中、道内の大手小売企業の経営者は「北海道のマーケットはまだ深い。どんな業種であっても必ず道はある。無理なことや出来ないことの中にこそ、勝機がある」と語り、未来の北海道経済をポジティブに捉えている。このような経営者の考えから、ヒントをつかむことはできないだろうか。
同社は道内に強い基盤を持ち、堅調な成長を続けているが、最大の強みは「物流網」だと断言する。一日当たり250万個の商品を扱い、これをトラック180台で運んでいる。1日のトラックの総走行距離は4万?にも達し、買い付け、調達から1次処理、加工、盛りつけ・パッキング、ピッキング・仕分け、配送、販売促進までを手掛け、北海道に特化したサプライチェーンを築いている。
北海道の現在の人口は約550万人、30年後には425万人へと減少し、生産年齢人口も激減する。所得の上昇も期待できない見通しだが、同経営者は「それでも北海道にはマーケットとしての未来が十分にある」と力強く語っている。「道民が365日、毎日来店すると年間20億人のマーケットとなる。これを捉えきれていないので、まだマーケットは深いと言わざるをえない。外に市場を探す努力をするより、近くにこれだけの市場があることをもっと考えるべきだ」と捉えており、「『売り上げ=客数×客単価』であり、『客単価=商品単価×買い上げ点数』。顧客の数が減って行き、顧客の収入も上がらない環境ならば、高い頻度で買ってもらえる施策をうっていくことで道は開けていく。北海道の強みは農産物、水産物、酪農、水、自然。このような資源を活用し、どこよりも強い商品を開発し、顧客基盤、信頼を得られるようにすれば、必ず花開く」と話している。
ビジネス成功の秘訣について、「市場の変化を大きく掴んで、最小単位に落とし込むことが重要。年間の計画を1日、1店舗、1時間に落とし込めば、無理そうに思える数値目標でも、実行可能に思えてくることもある。どんな業種であっても必ず道があり、どこかに解決点がある」としている。
これを物流業界に応用すると、物量の減少が確実で、顧客(荷主)の所得の上昇も見込めないならば、仕事を受ける頻度を増やすための施策をうつことで、新たな需要の取り込みが可能ということ。専属トラック1台1運行でジリ貧になっていくのなら、管理体制の強化やシステムで武装することでトラックの稼働を高め、細かな荷物を積み合わせ、これを1日、1拠点、車両1台ごとに数字を落とし込んでいけば、結果として大きな需要を取り込むことと同じことになる。(玉島雅基)
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