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    大阪市、新規参入が解禁 事業系一般廃棄物の収集運搬許可

    2012年8月31日

     
     
     

    truck1_0903.jpg 30年以上に渡って許可が見送られてきた大阪市の事業系一般廃棄物の収集運搬許可が、2台以上の運搬車を持つことなどを要件に新規参入が解禁されることが決まった。トラック運送業界は、自身が新規参入という流動化した物流市場に苦しむ側面を持つことや、トラックによる収集活動が伴うことなどから廃棄物とは接点も多く、すでに参入を見越した情報収集や準備を始める事業者もある。(西口訓生)



     「大阪維新の会」が目標に掲げる府市統合施策のなかで廃棄物行政にメスが入れられた。自治体の廃棄物処理義務を定義した「廃棄物処理法」そのものの改定が何もなされていない中で、「既得権を引き剥がす」(市環境局職員)といった橋下徹市長の政治的メッセージは、どのようにして行政手続きの中に組み込まれたのか。

     環境局一般廃棄物指導課の下永千尋課長代理が示したのは、「申請に対する処分個別票」という文書。参入を希望する民間事業者から申請があった場合の行政手続を定めた文書で、行政手続法に基づくものだという。当然、一般廃棄物許可以外の申請に対しても同様の個別票で処理するというものだ。

     従来の一般廃棄物収集運搬の申請に対する個別票には、「申請者の事業の開始により、既に許可を受けている者との競争が過度に行われ、その結果、本市における一般廃棄物の適正な処理が阻害されるおそれがないこと」との記載がある。つまり、既存業者を保護する理由付けに、「適正な処理」を挙げていた。「適正な処理」は、廃棄物処理法上の市の処理計画等で別途決められている。つまり、二つの法を「適正な処理」という裁量が入り込む余地の大きい文言でつなぎ合わせることによって、新規参入を阻んでいたことになる。

     この8月から設けられた新たな個別票には許可基準として、?大阪府内に事業所を有すること?運搬車を2台以上有するもの──といった裁量の入り込む余地のないものに変更した。下永氏は「今までは許可の基準が事実上なかった。今後は、暴力団排除等の欠格事由を除いては、基準に基づく手続きをすることになる」と話す。

     コピー用紙やパンフレット、事務机など、事業系の一般廃棄物を収集運搬する大阪市の許可事業者は現在、約360社。「2台以上」の要件で、ここに新規事業者が参入することになる。市は今後、新規向けの説明会や試験などを実施する方針。

     既得権を剥がされる形の既存業者からは、文書を通して、あるいは窓口に乗り込んできての抗議が激しいという。環境局担当者は、「既存業者からの苦情があること自体、市長のみならず職員の本気度の表れだと思っていただいて結構です」と話す。こうした経過もインターネットを通じて市は公表している。

     廃棄物処理法上、トラック運送業界と大きく違う点は2点。トラック運賃にあたる「収集運搬手数料」が10キログラムまでごとに270円(大阪市の場合)などと上限額が決められていること。もう一つは排出事業所と運搬委託関係を結んだ運搬業者は、再委託を原則禁止されていることだ。それでも今後、「料金も含めたサービス向上が市民に還元できるのではないか」(環境局職員)と期待感も膨らむ。

     参入を狙うトラック事業者側も鼻息が荒い。大阪市近郊で産業廃棄物の収集運搬に力を入れる事業者は、「ごみといっても事業系は扱いやすいものが多い。むしろ、扱いにくい、病院から出るおむつなどを、どのようにして扱いやすくするか。新規参入はそうした知恵合戦があってこそ意味がある」と話す。

     別のトラック事業者は、「現在、産廃は荷主から運搬委託されている。一般廃棄物も併せてやれれば、廃棄物処理の流れで提案機会も多くなる」と、期待している。

     事業系一般廃棄物収集運搬許可は、大阪市によると、政令市では仙台市やさいたま市、東京23区でも新規許可が行われているが、西日本では異例だという。

     
     
     
     
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