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料金徴収、制度化実現へ 運革協が国交省貨物課長らと会談
2012年8月31日
運革協(八田廣實会長)の理事会・合同会議が8月25日に開催されたが、松田孝司副会長は同13日に国交省の加賀至貨物課長、是則武志企画調整官と会談したことを報告。この中で、加賀貨物課長らは、「料金収受の制度化」を実現させる考えを示した。料金とは荷積み、荷下ろしの際の待ち時間、フォークリフト作業などのサービス行為といった諸料金であり、運送業界で問題になっている過剰サービスに歯止めをかけようとするもの。また、国交省側は、荷主と貨物運送事業者との取引で、業務範囲、責任、運送条件などの内容が不明確であることを踏まえ、書面契約の促進を図っていく意向も示した。
会談は国交省貨物課で実施。松田副会長は、運送業界の過労死、事故死の根本原因は行き過ぎた規制緩和とする、「トラック行政に対する私見」について意見交換した。同副会長は、運送事業者は規制緩和後、100台以下が98.5%と実運送業界は中小・零細企業で構成されていることを指摘。「そこに長期不況も相まって超過当競争に陥り、運賃は現在、平成2年の認可運賃に比べ半分以下になっている。荷積み、荷下ろし、待機など時間軸の料金はほとんどいただけないのが実情」と訴えた。
また、「過当競争による実勢運賃価格の低下で、事業所の収益悪化は顕著。全ト協調査による『経営分析報告書・平成22年度決算版』でも、業界の9割を占める50台以下の6割は赤字という結果。社会保険未加入や労基法に抵触して運営している事業所が驚くほど多く、このような状況を踏まえた上でのトラック行政を行って欲しい」と強く要望した。
加賀貨物課長らは「法令順守を行っていない事業所を行政として野放しにしておくわけにはいかない。監査を徹底して、法令順守していないところは業界の土俵から退出していただく」と答えた。松田副会長はさらに、「『トラック産業の将来ビジョンに関する検討会』『ワーキンググループ』『パートナーシップ会議』『監査のあり方検討会』を通じて、トラック行政として具体的に打ち出す施策ではどのようなことが考えられるのか。何らかの法制化などは考えられるか」と畳み掛けた。加賀貨物課長らは「何らかの形での料金収受の制度化を実現させる考え。それが法令化となるか省令となるか、通達になるかは現段階では申し上げる段階ではない」と回答。
また、「荷主と貨物運送事業者との取引で業務範囲、責任、運送条件などの内容が不明確であるので、『トラック輸送適正取引推進パートナーシップ会議』で検討し、詰めた上で書面契約の促進を図りたい。これもある程度、拘束力のあるものにしたい。そのことで責任の明確化、安全運行の確保、コンプライアンスの高まり、手待ち時間の解消、契約に基づかない作業、運賃減額などの解消という効果が得られると思う」と述べ、荷主への罰則を含めた料金収受の制度化、書面契約の制度化を行っていく考えを示した。
国交省は8月8日、自動車運送事業者に対する監査のあり方に関する検討会を設置して初会合を開催。悪質な事業者は即時に許可取り消しとするなど行政処分の厳格化や罰金、課徴金などの金銭的処分の可能性について検討し、来年3月に最終取りまとめを行う予定だが、料金の法制化、書面契約の制度化もこの流れの中で議論される模様だ。
運革協理事で兵ト協理事も務める鳥居豊太郎氏(野田屋運送)は「25台を保有するが、待ち時間は30分3800円で計算し、1年で4500万円の滞留時間の赤字が発生している。多くの事業者が待機時間、過剰サービスで残業代がかさみ、頭を悩ませており、いち早く料金の法制化が望まれる」と述べ、国交省の方針に期待を寄せている。(大塚 仁)
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