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ナンバープレート独占状態 購入は指定業者のみ
2013年1月11日
トラック事業者も関わることが多い運輸支局でのナンバープレート(標板)発行業務。2005年から06年にかけ、自民党政権下で新規参入を促す閣議決定がなされていたが、今もなお新規参入がゼロの状態が続く。1950年代から標板発行業務に就くのは役所の機関ではなく、「自家用自動車協会」「陸運協会」「整備振興会」といった公益法人組織だ。法には、国土交通大臣またはその代行者がナンバープレートを発行する旨だけが書かれているが、実際には役所としては業務から手を引き、公益法人からしか標板を買うことができない。
近畿地方に住む男性は昨年末、知人から譲り受けた自動車の名義変更のため近くの運輸支局を訪ねた。男性は運輸関連の仕事をしており、業務の概要は把握していた。しかし、自ら書類を作るのは数年ぶりだった。そこで感じたのが「まだこんなやり方をしているのか」という驚きと呆れだった。役所である支局とは棟違いだが、敷地内にある2階建ての建物で書類を出した後、当然のように支局職員から「あそこの建物で標板を買ってください」と告げられた。建物の入り口には「○○自家用自動車協会」と書かれ、実に半世紀以上前の1956年から運輸局の「指定」を受けていることを示す看板が掲げられていた。
金や人材の流れの透明性が損なわれるため行政改革しようといわれて久しい今もなお、「指定」業者から標板を購入するしか選択肢がない。男性は後戻りして支局職員に、「国土交通省から標板を買いたい」との旨を告げたが、職員は「あそこの建物でしか買えません」と告げるだけだった。仕方なく、男性は用を済ませて帰途に就いた。
その後、男性には運輸局から電話があった。担当者からは、「標板交付は非裁量的業務なので民間に委託しやすい」といった趣旨の説明があった。
道路運送車両法11条には、「自動車の所有者は、前条の規定により自動車登録番号の通知を受けたときは、当該番号を記載した自動車登録番号表を国土交通大臣又は第25条の自動車登録番号標交付代行者から交付を受ける」ことが定められているため、国土交通大臣から買いたいと男性が主張したときは買えるような仕組みが必要になる。
業務効率などを勘案して指定法人が代行するというのにも一定の理解はできるが、それを理解するためには、その業務が競争にさらされており、できるだけ自動車ユーザーに有利な標板価格の設定や取得方法が市場で評価されているかという、世間からの認知が必要なのは言うまでもない。
標板の価格は普通車用の中板で2枚一組1440円、大板で同1960円と設定されている(近畿地区の希望ナンバーでないもの)。標板交付代行者の一つ、大阪府自家用自動車連合協会のホームページには、その積算根拠について、81.03%が物件費、残りが人件費であることを記している。(西口訓生)
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