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のしかかる人件費 人手不足がコスト増に
2013年2月27日
自民党政権の経済政策の影響からか、株価の上昇など、景気に明るさが見え始めている。企業活動が積極的に展開されれば、荷動きも活発化する。そのため、トラック業界でも先行きに期待を寄せる声も聞かれる。しかし一方では、コスト増という経営を圧迫するリスク要因も指摘されている。円安による軽油価格の値上がりに加え、業界の深刻な問題となりうる新たな問題が迫っている。人材不足による人件費増というリスクだ。
「毎月、求人広告に数十万円の費用を掛けているが、まったく採用できない」。埼玉県内の事業者はこう漏らす。以前なら求人を出せば、わずかではあるが問い合わせがあり、そのうち何人かの面接が行えた。しかし今は、問い合わせすら来ない状況だという。「仮に問い合わせがあっても、冷やかしの電話で、面接までこぎつけることができない」とこぼす。
同社では、昨夏から人材を募集しているが新しく採用できたのは一人だけだ。その一人も求人広告での採用ではなく、現ドライバーの紹介だという。
一方、千葉県の事業者も「求人の反応が本当に悪い。人材不足は深刻だ」と嘆く。同社は、業務拡大のため人員増を試みたものの、求人への反応が鈍く、新たな人材の雇用ができない。「求人広告を出したいところだが、毎週のように出していると、応募側からは?問題がある会社?と誤解されるのが心配だ」という。そのため、「すぐに人材が欲しくても容易に募集できない」というジレンマに悩まされている。
人材不足が顕著になる中、すでに賃金アップに踏み切ったという事例も出ている。千葉県の事業者では、ようやく新規雇用できたドライバーに数日後、突然退社されたという。仕事が合わなかったとか、嫌になったわけでもなかった。理由は、以前勤めていた会社に戻ったためだ。わざわざ辞めた会社に戻るのは理解できなかったが、理由は簡単だった。元の会社の経営者から、以前よりも賃金をアップするから戻ってこいと声を掛けられたというのだ。
「本人が判断したのだから仕方がない」とあきらめたが、「雇用環境はまさに売り手市場で、人件費増というリスクが間近に迫っており、我々経営者は、徐々に追い込まれている」と危機感を募らせている。景気がせっかく上向いても、燃料高、さらに人件費増という新たなコストアップ要因が指摘されるトラック業界。経営の根幹ともいえる「ひと」の問題が表面化しており、事業者は今後も難しいかじ取りが続きそうだ。(高田直樹)
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