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新トラック運送経営のヒント(56)なぜ社員が辞めるのか
2013年3月1日
「管理者の1人が辞めるといってきたので、あえて慰留しませんでした」。ある運送会社の社長さんからの電話です。管理者やドライバーから辞める、と言われたら、基本的には引き留める必要はありません。ただ、経営者として「なぜ彼らが辞めるのか」について深く考える必要はあります。
給与などの待遇の問題なのか。家族などの事情によるものなのか。社長や管理者に対する不満や失望なのか。自分自身の適性の問題なのか。その他いろいろあります。
一般的に中小運送会社の社長さんはオーナーです。社長の考えだけで社内のことをほぼすべて決定できます。特に人事に関することは100%、社長が決定できます。そのため自分の言うことに逆らわない人、すなわち「YESマン」が会社に残ることが多くなります。ここで問題発生です。社内に、社長に意見する人がいなくなるからです。社員が何を考えているのか(本音)が分からなくなることは社長にとって致命的です。社長が明らかに間違ったことを指示した時にも、「YESマン」ばかりでは誰も進言してくれないですから。
時々、管理者の方からご相談を受けることがあります。「ウチの社長がドライバーに余計なことを言ったことで、ドライバーが一気にやる気をなくしてしまい、社内が嫌なムードになってしまった」。こんな話を何度聞いたことでしょう。
社長さんからみれば、確かに管理者もドライバーも「まだまだ甘いな」と感じることは多いはずです。でも、ちょっと待って下さい。逆にもし、社員に自社を大手企業と比べられたら、どうでしょう? 穴があったらすぐにでも入りたい気持ちになるのではないでしょうか。
社員が辞めた時、それは願ってもないチャンスです。せめて、その時ぐらい、自分の至らなさに思いを馳せる。落ち込むためではありません。自分にホンネを言わず辞めていった社員の声に静かに耳を傾ける。これ以上の経営の勉強はありません。痛みを伴い、身に沁みる勉強です。特に期待していた管理者が辞めた時はなおさらです。私も何回か経験しています。経営コンサルタント(私もその端くれですが)の経営者研修よりも、はるかに役立ちます。「社員に辞められたことを前向きなエネルギーに変える」。辛い経験こそ、社長が大きく成長できる絶好のチャンスです。
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