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    高速道路下げられない基本料金 NEXCO3社

    2013年4月17日

     
     
     

    kousoku_0412.jpg 高速道路料金が現行のETCによる各種割引水準で収まっているのはなぜかについての関心が、一般でもトラック運送業界でも薄いように見られる。端的には、国が道路保有機構を通して道路会社に補てんする形で現行の割引制度が実現している。その補てん期間が満了を迎えれば割引制度はなくなり、現状の物流体制は大幅な変更を余儀なくされるという構図で、実はその期限が来年3月末となっている。ここでは来年4月から、時限制度の割引ではなく恒久的な「基本料金」そのものの値下げが実現される見込みの本四高速の例を引き合いに、なぜNEXCO3社の基本料金は下がらないのかを推察した。



     大口・多頻度割引で高速割引制度の恩恵がある事業協組。ある組合の事務局長は、現在の割引制度が来年3月までの期限付き制度であることは知らなかった。「ここ数年、割引制度がなくなるという危機意識はあるが、具体的にどうなっているのか分からない」。

     割引制度はあくまで道路の設置者、つまり機構や道路会社、そこに補てんする国による一方的な意思に基づいたもので、政治的な思惑を抜きにすれば制度をやめることも設置者や補てん者の自由だ。一方、基本料金の引き下げは、道路建設費等の償還計画そのものを見直すことで恒久的に制度を変更するもの。

     例えば、割安な高速道路を利用することでドライバーの拘束時間短縮ができているという兵庫県内の運送会社にとって割引制度は、勤務体制の見直しを猫の目のように変更していく必要のあるものだが、基本料金の引き下げは安心して輸送体系を構築できるといった根本的な違いがある。同社社長は、「現行の割引がなくなれば残業代が膨らむことは目に見えている」という。

     では高速料金は、実務上の利害を持つ運送会社のような存在のほうを向いた、基本料金引き下げが実現する性格のものではありえないのだろうか。実は来年4月から、本四高速の3架橋の料金が大幅に引き下げられる見込み。それも割引制度ではなく、基本料金の引き下げが実施される。

     本州と淡路島を結ぶ明石海峡大橋の場合、垂水〜淡路両インター間の平日・普通車の料金は来年3月までは2300円が基本料金。ここにETC割引が加わり多くの車は1050円程度で通行している(兵庫県資料)。来年4月以降は基本料金が850円にまで引き下げられる見込みで、これは本四道路の料金をNEXCO3社の料金体系(料金プール制)に組み入れるという基本方針(2012年2月17日)で政治決定したことによるもの。

     兵庫県高速道路室によると、この方針を出すために県が機構に新たに出資した2年分の総額は約59億円。関係10府県市で343億円にのぼるという。関係者によると、地元の要請で建設の始まった本四道路を、今になって高いからという理由で全国の「料金プール制」に組み込んでほしいというのは、「地元のエゴ」だという。

     しかし、ここにNEXCO3社も含めた基本料金引き下げの肝があるとみる関係者もいる。負担しきれなくなった当事者がより大きな存在に助けを求めにいくという構図だ。関係者は、「基本料金を引き下げるのには賛成だが、NEXCOが助けを求めに行く相手はもはや国しかない。しかし道路公団は民営化されたという体面を守るため、基本料金引き下げを頼みに行くわけにはいかない。だから、今のような国費を投じた『高速道路利便増進事業』を使い、それを原資とした割引制度になる」。(西口訓生)

     
     
     
     
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