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    運賃だけではない 下請けいじめの実態

    2013年5月8日

     
     
     

    shitauke_0429.jpg 「ワシら下請け事業者が泣くのは運賃だけじゃない」――。トラック運送の取引適正化につなげる材料として契約の書面化が検討され、かねて実効性の欠如が指摘されてきた荷主勧告制度の改正についても議論されている。ただ、いわゆる「真荷主」との取引よりも同業大手の下請け仕事が中心というのが実運送の実態であり、力関係が働く運送の最前線には理不尽な現実が充満する。



     効率化という大義名分で、パレットを使わずに少しでも積載量を増やす?指令?が家電品を運ぶ兵庫県姫路市の運送会社に届いた。「要は手積みになるということ。ところが、大型トラック1台の積み込みに7時間もかかる。それで千葉県までの運賃が6万3000円だから信じられない」と社長。

     「『そんな仕事を引き受けるほうが悪い』といわれるかもしれないが、関東から持って帰る荷物の運賃だけではトントンで、燃料代に少しでもプラスになるなら…と続けてきた」。さすがに「労働時間で問題になる」と改善を申し入れたが、元請けの反応は「そんな細かいことをいう運送会社はもういい」と情け容赦なかった。

     紙袋に入った粉モノを扱う岡山市の運送会社。1枚に40袋(1袋25キロ)が積まれたパレットをリフトでトラックに積もうとしたところ、「先方指定のパレットに積み替えなければならない」と元請けの担当者が?待った?をかけた。「見ると一回り小さなパレットで、同じく1枚に40袋を積み上げるというからおのずと高くなる。ドライバーの腰や、背中にかかる負担も大きい」と社長。

     労災の心配もさることながら、「積み替え中に袋が破れた場合、ウチが弁償させられることになる」というのも割に合わない。「運賃は車上渡しが原則とまでいわないが、サービス残業をさせられたうえに商品事故のリスクまで負わされたのではたまらない」とこぼす。

     積み込みや荷下ろし作業が完了した時点での電話連絡を、かねて「点呼」として社内ルールにしてきた兵庫県たつの市の運送会社。「ある飲料関係の仕事だけは信じられない対応で、もうやめようと真剣に考えている」と社長。

     不満を抱えるドライバーによれば「明らかに次はウチの順番なのに、リフトマンが用意しているのはウチの後ろのトラックの荷物。文句をいうと、『あれは横持ち配送のトラックだから(順番を飛ばしている)』と、ワケのわからない理由」。傭車で入ってきたドライバーのなかには、怒って帰ってしまうケースもあるという。

     「それまで当たり前に使っていたフォークリフトを、元請けのセンター長が交代したことで『燃料代を運賃から差し引く』といわれた」と、雑貨配送を手掛ける広島市の運送社長。しかも、燃料の単価はスタンドの一般価格だったことから「もっと安くなるはず」と求めたところ、「イヤなら使用禁止」と告げられた。

     手積みできるわけもなく、構内に置かせてもらう了解を得て自前のリフトを持ち込むようにしたが、ある日、予定より早く着いたウチのドライバーから「リフトを元請けの従業員が使っている」との連絡が入った。「後でわかったが、黙って頻繁に使っていたらしい。『運賃にリフトの使用料金と燃料代をプラスさせてもらう』とやり返したいが、いえるわけもない」と呆れ顔で話す。

     これら現場の理不尽は氷山の一角。「小規模・零細事業者に『ドンブリ経営をやめて原価意識を持つように』と業界団体までがバカにする」と、規制緩和後にトラック事業へ参入した東広島市の40歳代の経営者。「現在、仕事のメーンになっている同業大手から『運賃は昭和60年タリフの70%』と通告されている。こうした場面の、どこで原価計算が生かせるのか。30年近く前の運賃相場を持ち出すほうがドンブリではないのか」と憤りを隠さない。(長尾和仁)

     
     
     
     
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