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    新トラック運送経営のヒント(72)日頃の失敗を地道に改善

    2013年6月28日

     
     
     

     「先生、やっぱりあの時から安全管理に取り組んでおけば良かったです」。ある運送会社の社長からの電話です。



     ちょうど1年くらい前に一度、ご相談を受けたことがありました。その時は「社内体制を整えたら、こちらからご連絡します」ということで、それっきりになっていたのです。それが、突然の電話です。

     相談内容は「先日、国交省の監査を受けたので適切に改善したい」とのこと。気になるのが監査のキッカケ。実は、重大事故でもなければ、労基署の通報でもありません。「ト協(正式には、適正化事業実施機関)から国交省への通報」だったのです。監査の数か月前に行われたト協の巡回指導で、点呼の未実施や初任診断、社会保険の一部未加入などを指摘されたようなのです。にもかかわらず「改善報告」を期限内に適正化事業実施機関に提出しなかったそうです。

     提出しなかった、というよりは点呼、なかでも深夜・早朝点呼が実際に?できなかった?ため提出しようがなかった、というのが現実のようです。ある意味、正直な社長だと思います。ひょっとすると適当に点呼簿を作成して改善報告をしていたら、何もおとがめがなかったかもしれないからです。

     10月からの法令改正で、適正化事業実施機関の役割が大きく変わります。今回の事例のように、重要な法令違反など改善報告をしない場合には国交省へ通報され、国交省の監査を受けることになります。監査を受ければ全く行政処分なし、というわけにはいきません。それでも、今回ご相談いただいた社長は「運がよかった」と話していました。もし、今回の監査を受けないまま10月の法令改正後に監査が入っていたら…。そう考えると本当に運がよかった、と。

     今後、確実に「適正化事業実施機関からの通報」による国交省の監査は増えるでしょう。今回のように、同じ失敗でも真摯に受け止めて改善していくことができる社長がいます。その一方で、社会や荷主の責任だと愚痴をいって自身を改革できない社長がいるのも事実。

     「災い転じて福となす」。樹木には年輪があります。厳しい環境で育つと年輪の幅が狭くなりますが、木材としては強くなるようです。失敗もこれと同じ。年輪の幅の広い、条件のいい環境で楽々育った樹木など、たとえ見た目は立派でも嵐がくればすぐに折れます。やはり「日頃の失敗」を地道に改善し、それを積み重ねていくこと。これによって生み出された年輪こそ、土壇場で社長を支え、運送会社を支えることになるに違いありません。

     
     
     
     
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