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新トラック運送経営のヒント(76)正直者は得をする!?
2013年7月26日
「正直者は得をする」。今のご時世、この言葉を真に受ける人は少ないかもしれません。ところが最近の監査で分かったこと、それは「正直者はやっぱり得をするかも?」ということなのです。
私のところに相談にいらっしゃる社長さんは、私の性格や考えを知ってか、安全管理に対して誠実にやっていきたい、と考える方ばかりです。そのため監査の際も、国交省の監査官に対して「ウソを言う」ことをしません。先日もこんなことがありました。新たに雇い入れたドライバーに対する「初任診断」の受診。これができていませんでした。私のところに相談にみえた時に、そのことが判明しました。その場で社長さんに受診の予約をお願いしたところ、すぐには受診できない、との報告を受けました。
社長さんは「予約だけでは意味ありませんよね?」と私に質問されました。私は「すぐに受診できなくても、とにかく未受診のドライバー全員の予約をすぐにして下さい」とお願いしました。素直な社長さんはすぐに予約だけはしてくれたのです。
そうこうしていると、いきなり国交省の抜き打ち監査が入りました。午前10時30分頃から午後6時頃までミッチリの監査。まるで1社が狙い撃ちされたみたいです。
監査でのある一コマ。
「ところで初任診断は受診させていますか?」
「いいえ、受診させていません」
「ああ、そうですか。それなら違反に挙げないといけないので」
「ただ初任診断の予約だけは全員してあるのですが…」
「えっ、それじゃ、予約したことが確認できる書類をみせてくれますか」
「これが予約表です」
「随分前に予約していますね」
「なかなか、NASVAが混雑していて、すぐに受診できなかったものですから、とにかく予約だけはしておきました」
こんな会話が交わされました。しばし監査官数人で話し合いがあった後、「かなり早くから予約されていたようですし、今回はこの点につきましては不問とします」と、思ってもみなかった回答をもらったのです。
まさに「大岡裁き」ではないでしょうか。杓子定規に法令を運用すれば、「これも違反! あれも違反!」となります。社長の安全管理に対する真摯な姿勢を、監査のやり取りや改善状況で確認しながら、どこまでを違反とするのか。行政側も非常に難しいところではあるでしょうが、やはり大事な点です。
「正直者は得をする」。運送業界だけでなく、社会全体もそうあってほしいと願うばかりです。
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