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フォークリフトが衝突 対物保険下りず泣く泣く実費負担
2013年9月5日
愛知県小牧市で運送業を営むA社。最近では保管業務にも力を入れ、賃貸ながら市内に5か所の倉庫を持つまでになった。ある日、同社の作業員がフォークリフトで荷物搬出のためバックしていたところ、誤って電動シャッターに衝突してしまった。普段は完全に上がっているシャッターが、この日に限って半分しか上がっていなかったことが原因だった。結局、シャッターは全損となり交換することとなったが、工事費用など合計で約50万円。同社では、万一に備えてすべてのフォークリフトに対人・対物保険に加入していたため、A社社長はさっそく保険代理店に連絡、手続きを依頼した。しかし数日後に担当者から「残念ながら保険は下りません」という驚くべき回答があった。
理由は保険約款の「対物賠償責任条項」にある?使用者?という文言にある。そこには「当社は、対物事故により記名被保険者の所有、使用または管理する財物が滅失、破損または汚損された場合には、それによって被保険者が被る損害に対しては、対物賠償保険を支払いません」と書かれている。つまり、第三者が所有する物件であっても、被保険者であるA社が使用している場合には保険が下りないのだ。これは代理店担当者が「私もそれによって保険が下りないとは思わなかった」というほど解釈が難しい条項といえる。「自社の所有物ならともかく、第三者(所有物)への損害で保険が適用されないのは納得いかない」と話すA社長。しかしその後、加入以外の保険数社に問い合わせてみたが、すべて回答は同じだったという。
では、こうしたケースでも補償されるためには、どのような保険に加入すればいいのか。運送会社専門の保険代理店プレスオフィス(愛知県一宮市)の牧野克也社長は「運送保険にフォークリフトによる物損も含む特約に加入すれば対応できる」とする。さらに「借家人賠償責任保険への加入も検討してみるべき」とアドバイスする。これは賃貸物件用の火災保険とセットになっている特約で、「本来、家主との賃貸借契約満了後は借りている物件を元に戻して返すことになっており、それが不履行となれば法律上の責任が発生する。それに対処するための保険。必ずしも強制されるわけではないが、万一に備えて賃貸借契約に合わせて同保険に加入することを勧める」とする。
泣く泣く実費でシャッターを修理したA社長は「今後のいい勉強になった」と話していた。
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