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    東北の物流 東日本大震災から3年 現状を追う

    2014年3月10日

     
     
     

    sendaihaisou_0310.jpg 東北への荷物はあるが、採算が取れないなら車は出せない――そのような声を関東の事業者から聞く。?行きたいけど行けない?という葛藤は、事業者の心に今なお存在しているようだ。東日本大震災から丸3年が経とうとしている今、東北の物流がどのようになっているのか、改めて検証してみたい。



     東北から関東への上り便は、安倍政権発足後の円安で輸出が好調だという。A社は人件費の安い東北で生産を行い、それらを関東まで陸送し輸出することで、既存顧客の貨物量は震災以前に比べ伸びてきていると実感している。しかし、人材不足に加え、高齢化に伴う長距離ドライバーの減少も大きく影響し、車両手配が困難な状況であるのが現実だ。

     住宅建材関係では、東北発の荷量は震災前に比べて減少。震災後の物量の推移をみても、今年度の物量は横ばいか減少傾向にあるという。東北と関東を行き来する定期便のあるB社では、以前は東北から関東行きの片道便の依頼があったが、現状が定期便に収まる範囲の物量であるため、片道便の依頼が激減している。

     復旧・復興のため、都市建設や設備投資が進められていることは想像に難くないが、実際に建材関係は、地場での需要が非常に多くなっている。「震災の半年前に、需要がないからと2分の1に減らされた石巻方面のチャーター便の仕事が、現在は震災前と比べて1・5倍になっている」という建材の配送を行う会社もある。

     対して、下り便の荷物情報は毎日のように届くようだ。しかし、B社のように車両手配が困難で、奪い合いの状態のため、以前と比べ運賃は上昇傾向にあるという事業者もいるが、仙台配送(仙台市宮城野区)の尾上寿昭社長の話では「上り便の相場は増トン車(12トン)で8万?9万。一方、下り便は5万円前後で、下手すると4万円になることもある。安いけど空車よりはいいと、燃料代、高速代を稼ぐつもりで仕事を受けてしまっている事業者がほとんどで、これでは東北の物流はよくならない」と危惧する。

     また、大手路線会社の貨物制限の強化も大きな要因となっているようで、これまで路線業者に依頼していた荷物が、大きさや形状、量などによって制限が設けられたことで、高値でも一般貨物企業にお願いせざるを得ない状況だという。

     従来、関東から東北向けの貨物は東北の車両が帰り荷として運行することが多かったが、上り車両の減少で引き取り車両の台数も全体的に減少している。そのため、長距離から地場へとシフトする動きが顕著になっている。

     C社は、荷主の依頼で関東から建築資材・ブロックなどを引き取り、いったん宮城に留めてから東北地方の地場配送を行ったり直接現場に配達している。福島県については現状、浜通りが寸断されているので、茨城の工場から運ぶ場合などは、南相馬市から北側の地域には宮城経由の方がスムーズに運べるという。

     尾上社長は、今後の東北の物流の理想形として、「宮城を拠点に関東・関西とやり取りするのがベストではないか」という。「宮城は消費地なので、他県に比べて大ロッドの出る工場や産業がない。東北6県の荷物を宮城に集め、上りは100%地場でできれば」と話している。

     
     
     
     
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