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    取り組み限界で安全確保の法規制を求める声

    2014年4月11日

     
     
     

    driver_0414.jpg 精神疾患や持病を抱えるドライバーの処遇に頭を悩ます事業者の姿が目立ってきた。安全の徹底を図れば図るほど浮き彫りになる問題に、事業者からは法規制の整備を求める声も出ているが、プライバシーの問題など、現実的に取り締まることが難しいのが実情だ。ただ、精神疾患や持病を抱えながらもドライバーを続けられる現状に、安全の確保に取り組むトラック業界には一抹の不安が残る。



     心の病で業務に支障をきたすドライバーの処遇で、就労トラブルに発展した神奈川県茅ヶ崎市の事業者。裁判で解雇は有効とされたものの、問題を起こしたドライバーは、その後も別の会社でレッカー車を運転していたことが判明した。

     また、「年に2回ある健康診断のうち、どちらかは必ず受けさせている」という川崎市の事業者では、数年前に東名高速道路を走行中、トラックが突然停止し立ち往生したことがあった。警察が駆けつけ検証したところ、ドライバーにてんかんの疑いが見られた。しかし、ドライバー本人はそれを一蹴し、「子どもの頃に頭をぶつけたことがある。その影響が今出てきただけ。てんかんではない」と言い張ったという。

     労働安全衛生規則第44条では、1年以内ごとに1回、定期的に健康診断を行うことが義務付けられているが、その診断項目は「血圧」「胸部エックス線検査」「心電図」など一般的なものにとどまり、精神疾患やてんかんについては触れられていない。しかも、新たに受診した場合でも、診断書の提出には本人の同意が必要だ。仮に精神疾患などが見つかったとしても、提出を拒否されれば事業者はその事実を知りえないのである。

     同社社長は「これまで健康チェックには気を使ってきたが、その気は全く感じられなかった。まさしく突発的に起こった事故で、寝耳に水」と話している。

     運送事業者は法令順守のもと、安全・安心の輸送の取り組みを行っているにも関わらず、健康に不安を持つドライバーが街中で運転するということは、一般市民を常に危険な状態にさらすことになる。事業者からは、「会社だけの取り組みだけでは限界がある」として、「何らかの法規制の整備も必要ではないか」との指摘もある。

     国交省は「現状でできることは、まず事故歴を調べ、免許停止にする以外の方法はない」(自動車局貨物課)という。理由として、精神疾患を例にとると、うつ病の明確な判断基準がないことが挙げられる。うつ病というのは、人の内面の問題であって、他人には知りえない範疇。そのため、医師は患者の言葉から推測するしかなく、会社で嫌なことがあって気分が落ち込んだり、ふさぎこんだりした時にうつ病と診断されてしまうケースも考えられる。「明確な判断基準がないのに法で縛るというのは、健康に不安のある人々の排除につながりかねない」(同)としており、厳重な処分には慎重な姿勢だ。

     横浜市の事業者は、2?3年前の採用面接の出来事を鮮明に覚えているという。ある志望者が「土曜日は休ませてほしい」というので理由を聞いたところ、精神科にかかるためだったという。衝撃的なのは、面接した12人中3人が精神科に通っていると明かしたことだ。「面接で見抜いて採用を控えるしかない」と事業者はいうが、「あなたは精神疾患かと聞くこともできない。面接だけで見抜くのは困難」とこぼす。その上で、裁判で精神疾患が認められたにもかかわらず、その後もドライバーに就くことが可能である現状に、「個人情報の問題もあるのは仕方がないが、安全を徹底すればするほど不安がぬぐえない」と話している。

     
     
     
     
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