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    ドライバーの「てんかん・糖尿病」配置転換を話し合うが…

    2014年6月27日

     
     
     

    truck3_0623.jpg 2012年4月、京都府内で軽自動車が暴走し、通行人を次々とはね、運転者ら計8人が死亡するという悲惨な事故が発生した。事故の原因は運転者の持病とされる「てんかん」発作によるもの。雇い主である企業経営者には今年2月、運転者の親とともに賠償命令が下された。



     奈良県のある会議で、ドライバーの病気による配置転換を巡る話し合いが行われた。その中で、あるドライバーは会社の健康診断で再検査が求められ、その結果、糖尿病と医師から指摘されたという。

     直ちに命に及ぶものでなく、今後は薬による治療が求められた。しかし、会社側は万一のことを考慮し、ドライバーとその家族に配置の転換を求めた。しかし、ドライバーは待遇や賃金の低下を心配し、拒否したという。同経営者は再度、医師に糖尿病と診断したドライバーが運転に支障はないかと尋ねたが、医師からはっきりとした判断は下されることはなく、あくまでも「会社とドライバー同士で話し合って判断するように」と指示された。

     このことに対して、同会議に参加していた事業者の一部も「医師は絶対に『ドクターストップ』と言う判断は行ってくれない。万一、『ドライバーが運転に支障を来す可能性がある』と会社に指示し、訴えられた場合のことを考慮しているからだ」と、同様の事例を語った。

     会議終了後、意見表明した事業者A社に話を聞くと、「家族とドライバーを交えて面談して配置転換を話し合ったが、ドライバーと家族は収入の減少などを理由に拒否した。しかし、過去に糖尿病で運転中に低血糖に陥って車両の暴走、もしくは自損事故などの事例も聞いている。万一、死亡事故や暴走事故など考えると本当に不安。当社では配置転換も再度検討したい」と話す。

     また、別の事業者B社は「少子高齢化でドライバーも必然的に年齢を重ねる。この結果、高血圧や糖尿病、様々な疾患が生じてくる。京都府内で発生した持病のてんかん発作による暴走事故は、トラックでもクレーン車などで実際に発生して大きな事故になっている。雇う側もみすみす事故の危険性の高いドライバーを運転業務に従事させる訳にもいかない。しかし、だからと言って強制的に配置転換しても、問題が発生してしまう」と嘆く。

     大阪労働局に病気を理由の配置転換は可能かについて話を聞いてみた。担当者は「民事上の問題であるが、従業員の立場では訴えることも可能」とした。本人が希望するならば事情を聴いて、会社側の経営陣との話し合いをはじめ、専門家の斡旋、大学教授や弁護士を交えての話し合いや裁判も可能とした。しかし、一番の打開策としてはやはり「会社と従業員が話し合う方法が大切」とした。

     一方、労務問題に詳しい経営コンサルタントは「病気を持つドライバーと経営者と医師の3人で話し合うことが大切。医師には必ず意見を求め、運転中の危険性なども詳しく聞く必要がある。段階を踏んで本人、会社、医師などで話し合って、配置転換の理由を明確にして、それに基づく処置でトラブルも避けられる」と説明する。

     しかし、ドライバーには家族の生活や、住宅購入の事情なども考えられ、急激に収入が減る配置転換は難しいようだ。だからと言って、危険要因を抱えたドライバーを大型トラックなどに乗務させ、万一、重大事故を起こせば会社はたちまち使用者責任を問われ、信頼を失うことになる。最悪の場合、事業継続が困難な状態に陥る可能性も考えられるため、病気を理由にした配置転換や対応は今後、業界の問題になりかねないようだ。

     
     
     
     
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