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    「適切な労働環境整備を」社会保険の加入、事業者の本音

    2014年7月23日

     
     
     

    truck2_0721.jpg 「社会保険は加入しなくていいので、その分、給与を多くもらいたい」──と言うドライバーがいる。しかし今の時代、「社会保険未加入」は事業者にとって厳しい目で見られる。社会保険に対する運送事業者の本音と、今後求められることについて調べてみた。



     社会保険に未加入の場合、どのような処分を受けるのだろうか。規制緩和後、事業者間の厳しい競争が進んだため、優位な立場に立とうと不当に運送原価を引き下げるケースが増加した。このため、国交省は新規事業者の許可の際、社会保険などの加入を2008年7月から義務付けた。

     未加入事業者は国の巡回監査や行政処分の対象となり、さらに昨年の5月からは、未加入事業者は日本年金機構に通報されるようにもなった。諸政策の成果か、近年ではトラック運送業界の社会保険未加入の事業者は約2割にまで減少している。しかし、会社の負担になるとして、加入をふみとどまる事業者もいまだに存在する。

     他の業種での未加入への対策はどのようになっているのだろうか。建設業の例を見てみると、いまだ東京や大阪などの都市圏では約4割が社会保険未加入となっている(国交省HP調べ)。また、経験年数別でみると、0から9年の若手と、40年以上のベテランの2割以上、特に50年以上では約半数が未加入という状況にある。

     建設業でも法令を順守し、適正に法定福利費を負担する事業者ほど競争上不利になるとされ、いわゆる「正直者がバカを見る」という状況が生じているのだ。行政と元請け企業、および下請け企業が一体となって取り組んでいくことが必要と、2年前に「社会保険の加入に関する下請け指導ガイドライン」が制定された。

     建設業許可部局では、建設業許可・更新時や立ち入り検査などにおける確認・指導、社会保険担当部局への通報を行う。また、社会保険の未加入企業が2次や3次などの下請け企業に多くみられる現状を考え、再下請け企業に対しても指導が行われる。将来的には、未加入の協力会社とは契約しないことや、未加入の建設労働者の現場入場を認めないことなどを見据えつつ、指導にあたることが求められている。

     運送業界に置きかえてみると、荷主が運送事業者に対して社会保険加入を促すということになる。荷主から社会保険などの加入を促し、未加入の場合は仕事をふらないなどといった仕組みがあれば、不健全な競争状態が緩和され、不正事業者が減るかもしれない。

     社会保険をはじめとする保険や年金は、業界全体の地位向上にもつながる。「いまどき社会保険にも入っていないなんて…」と周りに思われてしまえば、運送事業者のマイナスイメージはなかなか払拭されないだろう。トラックドライバーが交通事故を起こした場合、一般のサラリーマンなら「会社員」と報道されるところを「○○運輸のドライバー」などと報道されるのも、まだまだ運送事業者の地位向上が達成されていない証拠の一つなのではないだろうか。

     実際の現場では、加入に消極的な事業者もいまだにある。「会社が、いくらドライバーに加入を促しても、本人が拒否すれば、こちらも強くは言えない」と本音を漏らす事業者も見られた。社員が働きやすい環境の整備を重要視する事業者の声も聞かれた。大阪府門真市の事業者は、社会保険とは別に退職金共済制度の加入を視野に入れており、「会社としては厳しいが、社員に安心して働いてもらうためには必要な出費だと思っている」と話す。

     大阪市西淀川区の事業者は社員以外の保険加入にも力を入れている。「社員に社会保険に加入してもらうのはもちろん、パートさんには民間の保険をかけている。何かあった時のためにと考えて保険をかけるようにしている。当社は小さい会社だが、働く人のことを第一に考えるようにしている」という。

     一方、同摂津市の事業者は「数年前にGマーク取得で社会保険加入が必要となったが、50代ドライバーは『年金をもらっても少額で意味がない』と会社を辞めてしまった。ベテランドライバーだけに痛手だ」というケースもあるようだ。業界の地位向上のため、そして何よりも働くドライバーのため、社保加入などの適切な労働環境の整備は必要不可欠なのではないだろうか。

     
     
     
     
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